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2019年05月13日号 (第345)

飲食料品と飲食料品以外の境目(軽減税率の判断)

 みなさん、こんにちは、令和になりましたが、日常はあまり変わらないですね。4月末のテレビ等マスコミの報道を見ていると、大晦日を彷彿とさせるような騒ぎでしたが、良い意味で平和な日々が淡々と続いている状態でしょうか。

 さて、今回は、消費税の軽減税率の話題の中で、注目度の高い部分の一つ、飲食料品と飲食料品以外の境目について検討していきます。

◆生きている肉用牛は食品に非該当、生きている魚は食品に該当

 国税庁の軽減税率Q&Aで、生きている肉用牛は食品に該当せず、食用の生きている魚は食品に該当するという内容のものがあります。肉については、「枝肉」という状態になったら食品に該当するそうです。食品に該当するか否かは、食品表示法上の食品に該当するか否かに基づくとしています。

 例えば、生きた牛については、屠畜法で、屠畜場あるいは食肉解体施設でしか食用に解体できないことになっていて、そこで枝肉に加工された瞬間からは、食品になるというように考えます。

 さて、食品表示法に基づくとした場合、具体的に食品表示法に記載がないものは、一律に飲食料品に該当しないということになるのかという問題が生じます。明らかに、食品として販売するものなのに、食品表示法に具体的な記載が見当たらない場合は、国税庁に問い合わせるなど、しっかりと答えを出していくべきです。多くの事業者は、同種のものを継続して販売していきますので、入り口の判断を誤るとたいへんなことになってしまいます。

◆食用にも食用以外にも利用できるものの判断基準

 国税庁Q&Aによれば水道水は、飲料としても利用されますが、風呂や洗濯といった生活用水としても利用され、食品としての水と生活用水が混然一体となって提供されるので、食品に該当しないそうです。一方で、水道水をペットボトルに入れて、飲料として販売すれば、食品に該当するそうです。

 栽培用として販売される果物の苗木やその種子は、食品に該当しないのは当然のように思います。ところが、食品用のかぼちゃの種なども存在します。あるいは、重曹のように、食用にも清掃用にも利用できるものがあります。これらのように、食用にも、食用以外にも用いられる場合は、食品として販売(売る側の主観)すれば食品として、軽減税率の対象となります。逆に買う側が、どのような用途に使うかは関係ありません。

◆サービスと一体になったもの

 国税庁のQ&Aによれば、「果物狩り、潮干狩り、釣り堀」など味覚狩りの入園料、食品のみを取り扱った「カタログギフト」などは、食品に該当しないとしています。これらについては、最終的に消費者が食品を入手するので、食品の販売の一形態と捉えることも理論的には可能ですが、国税庁は役務の提供の一形態であるという判断をしています。

 また、国税庁のQ&A自体が頻繁に追加が行われていますが、最近追加された事例では、「飲食料品のお土産付きパック旅行」というものがあり、旅行に係る対価の内訳として、飲食料品のお土産の対価の額が明らかになっている場合でも、軽減税率の対象とならないとしています。これについても、食品として内訳が記載されていれば、その部分は食品の販売と判断することも理論的には可能と思われます。国税庁の判断とすれば、役務の提供の中に含まれる食品は、あくまでも役務の提供の一環であり、軽減税率の対象としないと判断したようです。

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