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2019年04月22日号 (第343)

令和元年10月1日にまたがる取引

 みなさん、こんにちは、連休対策はされていますか。月決算法人の場合で、経理担当者の方とお話しすると、休日は関係なく出勤予定とのことでした。また、物理的な仕事のボリュームもさることながら、月末入金、月初めの引き落としなどが連休明けに一気に集中する場合に、その順番がどうなるのかなど、資金的な余裕がない場合には、心配されているご様子です。

 さて、今回は、消費税率引上げ前後にまたがる取引の適用税率について検討していきます。

30日と10日にまたがる取引

 消費税率の引上げは令和元年10日とのことで、経過措置の適用がなければ、30日までの取引は税率が8%、10日以降の取引は税率が10%となります。

 ただし、現実的な問題として、深夜営業をしているコンビニ、飲食店、公共交通機関、仕事自体が月から10月にまたがって提供される場合など、スパッと切り分けられるものではありません。

 公共交通機関などは、30日の営業が深夜0時を過ぎて101日1時まで営業されていたとしても、30日の営業日分までは旧税率の適用で問題ないようです。コンビニなどでは、12時を過ぎるとレジの設定で新税率に切り替わるなどの対応が多いようです。深夜営業の飲食店の場合は、12時でいったん会計を締めるケースや、深夜時まで営業の場合は、9月30日分の売上として深夜時分までを旧税率とするなど、現実的な対応可能な処理を取らざるを得ません。

◆会計処理で9月までと10月までに分断されるケース

 売上を計上する基準で、出荷基準、検収基準、仕入を計上する基準として入荷基準、検収基準などのルールがあります。簡単に言えば、売上について、出荷時に計上するか、相手から検収通知が届いた段階で売上を計上するかについてのルールです。

 9月30日に出荷した商品があり、販売先に10月1日に入荷したというケースでは、売上側が出荷基準を使っていれば9月30日の売上、仕入側が入荷基準を使っていれば10月1日の仕入れとなります。この場合に税率はどのようになるかという問題が生じます。一方の会社では9月の売上、一方の会社では10月の仕入れと処理されています。

 このような場合は、9月に販売した側が8%の消費税で請求を行うことから、仕入を行った側も8%で取引を行ったものと考えます。理論上は10月の仕入なのに旧税率を使っていいのかという点が気になりますが、この点については国税庁がQ&Aを公表しており、同じ税率を適用することとしています。

◆9月と10月がまたがる取引

 例えば、年会費のように年分の会費をまとめて支払う契約の場合、請負契約のように月以前に仕事を開始して10月が過ぎてから仕事が終わる場合など、月と10月にまたがる取引は多くあります。

 請負契約などのように月と10月にまたがって、仕事が行われるような場合は、請負契約の収益が確定するのが仕事の完了時であることから、仕事が完了した時点が10月以降なら新税率である10%が適用されることになります。

 会費や保守契約などについては、月額いくらという契約なのか、年額いくらという契約なのかによって、契約が月額であれば月まで旧税率、10月から新税率となります。年額いくらという契約の場合には、権利が確定する時期によって取扱いが異なってきます。例えば、平成31月から令和元年12月の年会費で、平成31年1月中に支払いで、返還がない契約であれば平成31年月の収益となるので、全体について旧税率が適用されることになります。

 実務では、契約では月額いくらと決まっていて、支払方法は年額というケースもよくあります。その場合には、本来は10月以降の部分は新税率で請求すべきですが、途中解約しても返還しない旨の定めがある場合は、収受時に売上を計上するという実務が一般的です。このように継続して収受時に売上計上している場合は、10月以降の料金でも、収受したときは令和元年月以前であれば8%の税率で売上を計上しても差し支えないとされています。

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