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2019年02月12日号 (第386)

所有者不明土地の利用の円滑化に係る長期譲渡所得課税の特例の創設

 みなさん、こんにちは、今年の税制改正の内容が少ないなと感じていましたが、立法担当者による税制改正解説で時間を割いていたのは、なんと消費税の税率アップ関係でした。10%への引上げは、2回延長されていますが、そもそも法律ができていたのは民主党政権時代ですから、新しい内容ではないのですが、今年の主役なのですね。逆に消費税の影響が大きいので、小粒な改正内容というのが今年の改正なのかなと納得してしまいました。

 さて、今回は所有者不明土地利用の円滑化絡みの改正をご紹介します。

◆制度創設の背景

 人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下、地方から都市への人口移動などにより、土地の所有意識の希薄化が生じ、所有者不明土地が全国的に増加してきました。国土交通省によれば、平成28年度の調査で約20%の所有者不明土地があるとのことです。

 今後、相続などで、所有者不明土地の増加が見込まれます。所有者不明土地は、公共事業の推進等の様々な場面で、所有者の特定のために多大なコストを要し、円滑な事業実施への大きな支障となっています。そこで、以下のような対応策がとられます。

(1)所有者不明地を円滑に利用する仕組み【平成31年(2019年)6月1日施行】
 反対する権利者がおらず、建築物(簡易な構造で小規模なものを除く。)がなく現に利用されていない所有者不明土地について、以下の仕組みを構築します。
  1. 公共事業における収用手続きの合理化・円滑化(所有権の取得)
  2. 地域福利増進事業の創設(利用権の設定)
(2)所有者の探索を合理化する仕組み【平成30年11月15日施行】
  1. 行政機関が土地等権利者関連情報を利用できる制度を創設
  2. 長期相続登記等未了土地について、登記官がその旨を登記簿に記録すること等ができる制度の創設
(3)所有者不明土地を適切に管理する仕組み【平成30年11月15日】
 所有者不明土地の適切な管理のために特に必要がある場合は、地方公共団体の長が家庭裁判所に財産管理人の請求等を可能にする制度が創設されました。

 具体的には、所有者不明土地について、公園・イベントスペースなどの地域福利推進事業に利用するために、一定期間(上限10年間)の利用権を設定できる制度です。将来、所有者が現れ明け渡しを求めた場合には、期間終了後に原状回復します。なお、所有者に異議がなければ利用権の期間の延長が可能となります。

◆税制上の措置

(1)特定所有者不明土地に係る長期譲渡所得の軽減税率制度

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に基づく地域福利推進事業の事業区域内の土地について、以下の要件を満たす場合に、軽減税率の対象となります。

  1. 確知所有者等が有する特定所有者不明土地又はその上に存する権利
  2. 権利取得計画に記載がされた土地等
譲渡所得金額 2,000万円以下の部分所得税 10%+住民税4%
譲渡所得金額 2,000万円超の部分所得税 15%+住民税5%

 この改正は、平成31年(2019年)6月1日以後の譲渡について適用されます。
 所有者不明土地を地域福利推進事業のために利用権を設定する際に、共有名義の土地で一部の所有者が不明という場合があります。この場合に、判明している持分所有者を確知所有者といいます。権利取得計画に記載された土地等は、所有者不明土地の隣地の土地などで所有者が明らかな土地が該当することになります。

(2)所有者不明土地の収用の場合の5,000万円控除

 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する土地収用法の特例の規定による収用があった場合には、収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等が適用されます。(法人税についても同様の取扱いとされます。)。

 この改正は、平成31年(2019)6月1日以後の譲渡について適用されます。
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