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2019年01月10日号 (第383)

研究開発税制の拡充(法人税関係①)

 みなさん、こんにちは、今年は6日まで連休だった方も多いと思います。百貨店は2日からの営業でスローペースな動きでした。少しはのんびりできたでしょうか。

 さて、今回からは平成31年度税制改正の内容について、個別にご紹介していきます。まずは法人税関係の中で改正があった部分として、研究開発税制の拡充についてです。

◆研究開発投資の量と質の向上へ向けた改正

 今年の研究開発税制の改正内容は、研究開発投資の量と質を増加させるという政策目的によるものです。

 研究開発投資の量を増加させていくために、控除上限を引上げることで、研究開発投資の増加インセンティブがより働くように見直しが行われています。

 また、研究開発費の質の向上に向けて、オープンイノベーションや研究開発型ベンチャーの成長を促す措置が講じられます。

◆具体的な内容

(1)総額型

 試験研究費の総額に係る税額控除について、税額控除率を以下のように見直します。

増減試験研究費割合8%超9.9%+(増減試験研究費割合-8%)×0.3
増減試験研究費割合8%以下9.9%-(8%-増減試験研究費割合)×0.175

 試験研究費割合が増加する場合は、従来より控除率が高くなり、試験研究費割合が小さくなる場合は、控除率も下がる仕組みとなっています。結果として、控除率は6%~14%の幅となります。

 また、控除税額の上限について、一定のベンチャー企業の場合は、当期の法人税の40%(現行25%)に引き上げられます。一定のベンチャー企業に該当しない場合は、従来通り25%です。

 一定のベンチャー企業とは、設立後10年以内の法人で、翌期繰越欠損金額を有する場合に該当します。ただし、大法人の子会社等は除かれます。

(2)控除上限の上乗せ
 試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合の税額控除の上限の上乗せ制度については、次のとおり改正した上、その適用期限が2年延長されます。
  1. 試験研究費の総額に対する税額控除制度の上限に、当期の法人税額に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(上限は10%)を乗じて計算した金額を上乗せ額とします。これは、従来と同様の計算方法です。
  2. 試験研究費の総額に係る税額控除率に、控除割増率を乗じて計算した率を加算した率とする方法です。控除割増率とは、試験研究費割合から10%を控除した割合に0.5%を乗じた割合(上限は10%)です。
(3)中小企業技術基盤強化税制

 中小企業に該当する場合は、試験研究費の12%の控除率、法人税の25%までの税額控除を受けられます。

 なお、試験研究費増加割合が8%を超える場合は、控除率は増加割合に応じて17%まで、控除上限を法人税の35%まで引き上げます。この上乗せ措置は、2年間の特例となります。

(4)オープンイノベーション型
  1. 対象となる特別試験研究費の額に、一定の要件を満たす企業間の委託研究に要する費用の額を加え、その税額控除率を20%とします。
    なお、研究開発型ベンチャー企業との共同研究及び研究開発型ベンチャー企業への委託研究に係る税額控除率は25%とします。
  2. 特別試験研究費の対象となる国の指定を受けた医薬品等に関する試験研究について、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所からの助成金の交付を受けて行う特定用途医薬品等に関する試験研究を加えるとともに、その助成金の交付を受ける法人の常時使用従業員数が 1,000 人以下であることとの要件を設けます。
  3. 控除税額の上限を当期の法人税額の 10%(現行5%)に引き上げます。

 大きな税額控除が受けられる研究開発費税制ですが、控除率が累進的に上昇していき、法人税に対する控除限度額も複数の上限設定で、少し複雑な制度になってしまいました。特に、控除率控除限度額の言葉を意識しておかないと、話がみえなくなってしまいます。

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