税務最新情報

2018年12月20日号 (第381)

税制改正と税法の構造

 みなさん、こんにちは、今年最後の税務情報です。税制改正大綱が公表され、来年度の税制改正の概要が明らかになりました。消費税の引上げを控えているせいもあり、かなり地味な内容でした。

 来年度の税制改正の詳細は、次回以降お伝えするとして、今回は、税制改正の流れと税法の構造についてご紹介します。

◆毎年変わる税法

 税制改正が毎年行われるわけですが、なぜ毎年なのでしょうか。一言でいえば、国の予算と深い関係があるからです。大きな予算が必要なら、増税をして足りない部分を補わなければならないということで、予算を決める際に税制改正も併せて行うようなイメージです。また、予算との兼ね合いだけでなく、政策実現の手段としての税制の利用という側面があります。最近の例では、雇用促進税制や所得拡大税制など、その時々に合わせた政策実現に向けての税制改正が行われています。

 実際の流れとしては、各省庁等から税制改正の要望があがり、税制調査会で審議を実施したうえで、12月に税制改正大綱が公表されます。その大綱と予算案は12月中に閣議決定されます。その後、条文の案を作成して、2月に改正法案が国会で審議され、3月に成立、4月から新しい税制が施行という流れになります。

◆大綱と税法

 税制改正大綱が12月に公表されますが、その段階では条文がない状態です。大綱が公表されてから月に法律案を国会に提出するまでに、ゼロの状態から矛盾のない法律案を作成するわけですから、たいへんなスケジュールとなります。税法の条文を立法していた方にお話を聞いたことがありますが、その作業中はほとんど家に帰らず仕事をしていたとのことです。

 年によっては、大綱と出来上がってくる法案で微妙に内容が異なっている場合もあります。大綱段階では大枠しか決まっておらず、細部が未定と言う場合もあれば、条文作成過程で軌道修正を行いつつ、国会提出までに完成させることもあるからです。

 月に施行される段階では、法律だけでなく施行令や施行規則なども定められており、その段階でようやく新しい税制の詳細な取り扱いが明らかになります。たとえば、所得拡大税制では、実際の控除額の計算は施行令がないとできないので、本当の詳細な解説は月以降にならないとできません。

◆施行令・施行規則・通達

 施行令と施行規則という言葉はあまりなじみがないかもしれませんが、重要なことは法律で定めることになっています。法律は国会で定めるので手続きとして重い手続きが必要です。それに対して、施行令は政令とも言いますが内閣総理大臣が決裁する、施行規則は省令とも呼ばれますが財務大臣が決裁することで定められます。

 租税法律主義という言葉がありますが、どのような場合に税金がかかるというような重い内容は法律で定め、具体的な計算方法などを施行令で定め、必要な書類や形式などを施行規則で定めるというようなイメージで構成されます。

 また、法律、施行令、施行規則以外に通達と呼ばれるものが実務では利用されます。通達自体は、本来は上級行政機関が下級行政機関に対して行う命令ですから、納税者の立場からすると強制されるものではありません。ただし、役所側は通達に従った処理をするので、通達に合わせた処理をすることでリスクを回避することができます。実務では、通達に合わせた処理を行うことが一般的です。ちなみに月に改正税法が施行されて、通常は月ごろに改正税法に合わせた通達が公表されます。

 

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