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2018年11月01日号 (第376)

インボイス制度における仕入税額控除の要件

 みなさん、こんにちは、11月になってしまいました。お客さんとの話題も、年末調整に向けての内容になりつつあります。私の場合は、多くても月1回の訪問なので、11月に年末調整の資料を渡して、12月に回収という流れになりますので、11月からは年末調整の季節となります。

 さて、今回の話題は、インボイス制度における仕入税額控除の要件を確認していきます。

◆仕入税額控除の要件

 平成35年10月以後インボイス制度が導入されますが、その際に消費税の計算で仕入税額控除を受けるためには、記載要件を満たした帳簿インボイス(適格請求書等)の保存が必要となります。インボイスの記載事項については、前回ご紹介しましたが、帳簿の記載事項は下記の通りとなります。

  1. 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
  2. 課税仕入れを行った年月日
  3. 課税仕入れにかかる資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡に係るものである旨)
  4. 課税仕入れに係る支払対価の額

 来年の10月に軽減税率制度が導入される際の帳簿の記載方法と同じで、インボイス制度になるから特別複雑になるというわけではありません。帳簿への登録番号の記載は要求されていませんが、登録番号を入力すれば登録事業者の名称が表示されるなど、入力がシンプルにできる仕組みが定着するかもしれません。

◆帳簿の記載のみで仕入税額控除が認められる場合

 インボイス制度に移行しても、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取り扱いがあります。一部は、前回のインボイスの交付義務が免除される場合ですが、古物商、宅建業など一般消費者からの仕入が多数存在する事業者に認められています。

  1. 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
  2. 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(1に該当するものを除きます。)
  3. 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物
    (古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
  4. 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物
    (質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得
  5. 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物
    (宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
  6. 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品
    (購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
  7. 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び
    自動サービス機からの商品の購入等
  8. 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス
    (郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
  9. 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

 なお、当面は、免税事業者からの仕入れでも一定割合について仕入税額控除を認められますし、上記のように帳簿の記載だけで仕入税額控除を認められます。結果的に、消費税の計算そのものはインボイスを集計するのではなく、帳簿を元に計算することになる点は従来通りです。

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