税務最新情報

2018年10月10日号 (第374)

消費税の軽減税率に伴うインボイス制度 総論

 みなさん、こんにちは、台風24号の際に首都圏のJRは20時で運休としました。それを受けて多くの小売店なども早めに閉店としました。記録的な暴風であったにも関わらず、比較的被害は小さく、リスク対応の重要さを感じました。

 さて、今回は、消費税の軽減税率に伴い、インボイス方式が導入されますが、その総論についてご紹介します。

◆インボイス制度とは

 国税庁がインボイスという言葉を使い始めたので、インボイス制度といいますが、正確には「適格請求書保存方式」といいます。この制度の仕組みは、
①インボイスを発行するためには税務署長へ届出が必要で、登録事業者のみがインボイスを発行できます。
②登録事業者は、課税事業者からインボイスの交付を要求された場合に、インボイスの交付義務があります。
③消費税で原則課税により消費税額を計算する際に、仕入税額控除の要件としてインボイスと記載要件を満たした帳簿の保存が必要とされます。

 消費税の軽減税率の導入が平成31年10月から実施されます。複数税率による消費税計算を支える制度として、軽減税率の導入から4年後の平成35年10月からインボイス制度が実施されることになっています。

 従来は、消費税の取扱として、仕入税額控除を受けるために帳簿及び請求書の保存が必要という建付けでした。インボイス制度導入後は、登録事業者にインボイスの交付義務仕入税額控除を受けるために帳簿及びインボイスの保存義務という2つの側面から規定されています。登録事業者は、インボイスの不正交付について罰則が課せられますし、交付したインボイスについて7年間の保存義務が課せられます。登録事業者となる場合には、インボイスの保存義務まで見越して対応が必要ですし、カラの領収書は決して渡してはいけないなどの従業員教育も必要です。

◆インボイスの交付が必要ない場合

 今回は、総論ということで、詳細は省略しますが、インボイスの交付が必要とされない例外的な取扱があります。また、仕入税額控除を受ける際に、インボイスの保存が必要とされない例外が設けられています。

 さらに、古物商、宅建業などのように、一般消費者からモノを購入して、販売する業者については、インボイスがなくても仕入税額控除を認めるという取扱があります。

 例えば、取引価格が200万円前後の中古自動車を売り買いしようとする場合に、相場がありますから、業者も極端に安く仕入れることはできません。仮に190万円で仕入れて、200万円で販売した場合に、売上200万円のうち19万円が預かった消費税となります。仕入税額控除が認められないと、
【売上200万円-仕入190万円-消費税19万円】で、利ざやが10万円のつもりが、逆に9万円の損をしてしまうことになります。同じ現象が、中古住宅などでも起こりえます。そのような現象を防ぐために、特定業種にインボイスがない一般消費者からの仕入税額控除を認める取扱を認めています。

 

◆免税事業者はどうするべきか?

 インボイス制度が始まると、登録事業者しかインボイスは発行できず、インボイスがないと仕入税額控除を受けられないという状況になります。そして、登録事業者になるためには消費税の課税事業者であることが要件とされます。

 例えば、110万円の仕入を行った際に、インボイスがあれば消費税で10万円税額控除が受けられ、一方でインボイスがなければ10万円の税額控除が受けられない結果となります。つまり、仕入を行う業者の立場で考えると、同じモノを同じ値段で購入するのなら、登録事業者から購入するほうが有利となります。

 逆の見方をすれば、免税事業者が販売する場合、登録事業者が販売する金額の100/110の割合(90.9%)程度で販売しないと、購入者から選んでもらえない可能性があります。購入する側にも、仕入や経費に消費税がかかりますから、販売価格に消費税を乗せないで販売すれば、下手をすれば持ち出しになります。

 インボイス制度が導入されても、当面は経過措置がありますが、最終的にはインボイスがなければ仕入税額控除は認められなくなります。

 つまり、事業者向けのビジネスをしていて、登録事業者でない場合は、取引が中止になってしまう可能性が生じます。そこで、取引の継続のために、従来は免税事業者であった場合も、登録事業者となるための課税事業者選択を検討する必要が生じます。

 もっとも、美容室や郊外の一杯飲み屋のように、一般消費者を相手にするビジネスの場合は、インボイスを要求されるケースも少ないでしょうから、免税事業者のままでいてもデメリットは生じないかもしれません。

 業態に応じて、インボイス制度にどう取り組んでいくのかについての検討が必要です。

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