税務最新情報

2018年08月01日号 (第367)

会計基準と法人税の取扱で差異が生じる取扱

 みなさん、こんにちは、暑いです。連日35度です。くれぐれも、体調管理には気をつけましょう。

 さて、今回は、会計基準の変更に伴い、法人税の取扱がどのようになるかの論点の、取り敢えずの最終回です。

◆返品権付き販売

 新会計基準では、返品の予想が見込まれる場合は、見込まれる部分を返金負債として処理します。国税庁が示す例示では下記のとおりです。

 1個200円の商品(原価120円)を100個販売し、その返品予想は2個と見込む

  (現   金) 20,000      (収   益) 19,600
        (返金負債)400
  (売上原価) 11,760      (商   品) 12,000
  (返品資産)240  

 従来は、総額2万円の売上を計上、それに対して返品調整引当金を計上するという会計処理だったものを、売上高について返品を見込んだ後で計上するという処理への変更です。

 法人税法では、従来どおり2万円の売上として処理して、会計基準とは異なる取り扱いになります。消費税は法人税と処理が一致しますが、会計処理とは異なる取り扱いとなります。

 なお、返品調整引当金については平成33年3月31日までに開始する事業年度までは、従来どおり引当を認め、平成33年4月1日以後開始する事業年度から10年間について、その10分の1ずつ縮小した額で引当を認めるという経過措置が用意されました。返品債権特別勘定については現行の取扱が維持されます。

◆消化仕入の取扱

 百貨店方式と呼ばれる商慣行があります。百貨店に出店しているテナントが、一般消費者に商品を販売した際に、販売した商品を、テナントが百貨店に販売し、百貨店が一般消費者に販売するという取引形態です。一般消費者は、購入した商品について百貨店の保証を得られるというメリットがあり、百貨店は在庫を持たないというようなビジネス展開ができます。

 この場合、法律上は、百貨店は一般消費者に12,000円の商品を販売した場合に、10,000円の仕入をして、12,000円の売上が立つという形になるのですが、新会計基準では、以下の要件を検討した上で、手数料部分の2,000円のみを収益とする形になります。

①約束の履行に対して主たる責任を有していること
②企業が在庫リスクを有していること
③企業が価格設定において裁量権を有していること

 会計処理として百貨店などは、ほとんどの場合手数料収入のみの計上になることが予測されます。一方で法人税と消費税の取扱は、従来どおりとなります。法形式としては、テナントが百貨店に販売し、百貨店が一般消費者に販売している事実があり、法人税の計算には総額でも純額でも与える影響もありません。さらに、適格請求書保存方式を導入する消費税では、インボイスと切り離した計算は考えられません。

 

 前回まで、ご紹介した部分については、法人税が会計基準の処理も認めるというような対応でしたが、今回の部分は会計処理と異なる処理になります。中小企業には、新会計基準は強制適用されないので、それほど影響はありません。ただし、上場会社の子会社など、新会計基準の適用を受ける場合は、かなり会計処理に負荷がかかることが想定されます。

 法人税は、実効税率が約3割です。従来、経営者は試算表の利益を見て税額を予想していました。ところが会計上の利益と、法人税の所得と大きな乖離が生じることで、直感的に税負担を想像できないくらい難しい制度になりつつあります。会計は、投資家の判断に資するものと考えれば正しい方向なのですが、試算表で経営判断を行う経営者にとっては受難の時代です。

 新会計基準が適用されない中小企業は、税務と一致する処理が、経営判断に役立つ会計処理と考えて良いでしょう。

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