税務最新情報

2018年04月20日号 (第357)

特例事業承継制度の特例の意味するところ

 みなさん、こんにちは、早いものでゴールデンウイーク直前です。経営者目線でみると、休みがあっても仕事は減らない・スケジュールはタイト、休日が多くてこなせる仕事が3分の2になるのに、給料の支払いはいつも通りということで、踏んだり蹴ったりな状況だったりします。

 今回は、引き続いてになりますが、平成30年度税制改正の目玉である事業承継税制の核心部分について、ご紹介していきます。

◆何が特例なのか

 事業承継税制自体は、平成21年度税制改正で導入ですが、今年の改正は非常に大きな内容になっています。ただし、規定の仕方が特殊で、既存の事業承継税制に、特例として上に乗るような制度と位置づける必要があります。

 何が、特例なのかというと、平成30年から平成35年(2023年)3月までの5年間に、承継計画の確認を都道府県知事に受け、平成39年(2027年)12月までの贈与税・相続税について、都道府県知事の認定手続きを受けて申告することで、次のような従来にはない特例制度が利用出来ます。

①納税猶予額が承継した株式に対する税額の100%(従来は80%まで)
②全ての株式に対して納税猶予が可能(従来は3分の2まで)
③複数の人から株式の承継が可能(具体的には父から80%、母から20%など)
④最大3名の承継者へ承継が可能(長男30%、次男20%、三男20%など)

 従来の制度と比較すると、大盤振る舞いなイメージですが、5年間で承継計画の確認を都道府県で受ける、10年の間に承継(相続か贈与)するという形で、期間限定の取扱となっています。期間については、延長される可能性もありますが、かなり改革的な制度なので、様子見の意味も込めて期間限定としているのかもしれません。

◆期間から外れると従来の制度の枠組みでの事業継承税制適用

 特例制度は、期間限定の特典に当たるため、運悪く平成29年までに事業承継税制を利用してしまった人は受けることができません。将来についても、現状では5年以内に都道府県で承継計画の確認を受け、10年以内に贈与・相続による事業承継が必要であるという点で、いつまでも使えるわけではありません。

 制度として、10年以内に相続してくださいというのは現実的ではないので、立法趣旨としては、ここ10年で贈与を中心とした事業承継を後押しするという内容です。制度の延長がない場合でも、10年間の間に特例制度により贈与を行っておけば、10年経過以降の相続税の納税猶予への切替えの際にも100%の納税猶予ができる仕組みとなっています。

◆タイミング的に合うようなら確認まではやっておくべき!

 期間限定で非常に有利な制度なわけですが、そもそも事業承継は、30年に一度くらいのイベントです。仮に30歳で起業、60歳で事業承継としても30年で、実際には60歳では事業承継しないでしょうから、もう少し頻度が少ないイベントと考えるべきです。一方で、正確な統計データは不明ですが、設立して10年、20年続く会社は少数派と考えることができますから、事業承継税制のニーズがあること自体が確率的に、希と考えるべきです。

 さらには、30年に一度のイベントなのに、平成29年まで事業承継をしてしまっている場合は対象外の特例制度、後継者候補がいないなど今後10年以内に承継が行われないであろうケースも、制度の延長がなければ使うことができません。

 結局、5年以内に都道府県知事の確認を受け、10年以内に相続又は贈与と期限を切っている以上、使いようがない場合は、そもそも見送るしかありません。一方で、後継者も決まっている、10年以内にバトンタッチする可能性があるのなら、都道府県知事の確認までは、必ず行っておくべきです。5年経過後に、確認をしようと思っても手遅れとなりますし、確認をした場合に、必ず10年以内に事業承継しなければいけないという縛りもありません。可能性があるのなら、確認まではやっておくべきです。

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