税務最新情報

2017年12月20日号 (第345)

ビットコインなど仮想通貨に関する税金の計算

 みなさん、こんにちは、今年最後の発信になります。年末と言うことで、税制改正大綱が公表されました。次回以降は、税制改正大綱に沿って、平成30年度税制改正について、ご紹介していきます。

 新聞紙上ではビットコインの暴騰が報道されていますが、12月1日に国税庁が、「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」という文書を公表しました。今回は、その内容に沿って、要点をご紹介していきます。

◆仮想通貨に関する所得の計算方法の概要

 仮想通貨に関する課税関係は、基本的に仮想通貨により生じた所得は、雑所得になります。つまり、損失が生じた場合に、他の所得とは通算できないことになります。また、証拠金取引の場合でも、分離課税にはならず、総合課税となり、他の所得と合算して、超過累進税率の適用となります。

 所得の発生時期は、売却(金銭に換金)したとき、商品の購入に利用したときの他、他の仮想通貨と交換した際や、マイニング(注1)した際にも生じることになります。

 売却のときには、売却金額と取得価額の差額が所得となります。商品の購入の場合は、商品の購入価額と取得価額の差額が所得になります。他の仮想通貨と交換した場合には、他の仮想通貨の時価との差額が所得になります。売却した際は理解しやすいですが、商品の購入に充てたときや、他の仮想通貨と交換したときに所得の認識をしなければならないのは、うっかりとしてしまいそうです。また、記録を残しておかないと、後になって計算ができないという状況になりかねないので注意が必要です。

 さらに、マイニングした際に、マイニングした時の時価から、マイニング等に要した費用を差し引いて所得を計算するとされています。マイニング等に要した費用が、どこまで含まれるのかも気になるところです。

 取得価額の計算については、原則として移動平均法によります。ただし、継続適用を要件として総平均法を利用することも可能です。

 ちなみに、仮想通貨が分裂して、新に仮想通貨を取得した場合は、分裂時点では新たな仮想通貨には時価が存在しないため、所得は認識しません。

【注釈】
(注1)マイニング
 マイニングとは、日本語で採掘という意味です。具体的には、ビットコインのコンピュータ処理に参加することで、その報酬としてビットコインを入手することを言います。作業(実際にはアプリケーションが行う)をして、ビットコインを生み出すのでマイニングと呼ばれています。

◆仮想通貨は有利なのでしょうか?

 実際に、お客様でも、仮想通貨へ投資されている方がいらっしゃいますし、市況は好況のようで、人気がある状態です。有利なのか否かと言われると、難しい話しになります。バブルの時代にNTTの株式を購入して、高値で売り抜けた人は、大もうけをした一方、バブル時代に株式を購入して、バブルが弾けるまで保有していた人は、大損しました。仮想通貨についても、すでに高値で売り抜けた人は利益確定ですが、これから購入する人、保有中の人は、今後の価格変動がどうなるかで、先行きについては何とも言えません。

 税務上の取扱いについては、雑所得の総合課税ですので、利益が生じた場合は給与所得など他の所得と合算した上で、累進税率の適用となり、分離課税が適用される株式などと比較して不利な課税環境にあると考えることができます。また、損失が出た場合に、他の所得と通算できない点は、株式などと同様で、利益が出た場合に課税、赤字が生じた場合には切り捨てと言うことで厳しい取扱いです。結論としては、利益が生じたときに累進税率で高い税率の適用、損失が生じたときは切り捨てということで、税務上は有利な投資対象ではないと判断できます。

 

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