税務最新情報

2017年11月10日号 (第341)

財務会計データのやりとりと管理の方法

 みなさん、こんにちは、年末調整の準備の季節です。平成30年から、配偶者控除の変更など、扶養控除等申告書の記載や、1月からの源泉税の取扱いに変更があるので注意が必要です。次回は、年末調整と来年以降の源泉税の取扱いの変更点などをご紹介したいと思います。

 今回は、前回からの続きで、会社と税理士事務所との財務会計データのやりとりの方法、データの管理の方法をご紹介します。

◆会計データのやりとりの方法

 インターネットが普及するまでは、伝票など紙の帳票で財務会計データの受け渡しをしていました。紙の帳票を持ち帰って、税理士事務所で会計処理を行うという作業の流れが一般的でした。最近も、紙の帳票や原始資料を税理士事務所でお預かりして、会計処理を行うこともありますが、メールなどの電子データを介して会社と税理士事務所でデータをやりとりすることが標準になりつつあります。

 データのやりとりの方法としては、財務会計ソフトのバックアップデータをメールに添付する方法、あるいはストレージサービスを経由して交換する方法が採られます。メールに添付できる程度のファイルサイズなら添付が一般的ですが、財務会計ソフトによってバックアップファイルのサイズがかなり変わるので、容量が大きい場合は、ワンドライブ、ドロップボックスなどのストレージサービスを利用することになります。また、財務会計ソフトの仕様で、財務会計データのバックアップが一つのファイルになる場合もあれば、複数のファイルになる場合もあります。複数のファイルの場合は、一つのフォルダに保存した上で、フォルダを圧縮してから送付するなど、一手間増えることになるので、会社側でパソコンの扱いに慣れている方がいるかいないかによって、財務会計ソフトを選択することも大切です。

 また、メールで送る場合は、パスワードを設定します。パスワードについてはデータを送るメールとは別の形でやりとりをするなどの安全性に対する配慮とルールが必要になります。

◆財務会計データの管理手法

 前回、ご紹介したように会社で会計処理が完結するのであれば、会社にある財務会計データが原本であり、全ての訂正作業などを会社のデータで行うことになります。

 一方で、会社で経理に詳しいスタッフがいないなどの理由により現金や預金の出納などは入力できても、掛けによる仕入・売上、手形の取引など、現金や預金以外の取引の入力に不安がある場合があります。この場合、ある程度のデータを会社で作成して、税理士事務所が必要な処理を加えて月次決算を完成させるというような形になりますが、財務会計データを会社側で持つのか、あるいは会社では暫定的な入力を行うだけで、財務会計データは税理士事務所に置くのかという、財務会計データをどのように管理するかという問題があります。例えば10月までのデータを会社で作成して、税理士事務所に送った場合に、そのデータに会社が続けて11月分のデータを入力していき、税理士事務所では送付されてきた10月分データに必要な修正を加えるという作業を行うと、二つのデータで作業を行っていることになり、合算あるいは同期させる作業が必要になりますが、この部分はそれなりに、ノウハウが必要になります。例えば、会社で9月分のデータで訂正が必要であることに気付き、9月分の訂正をしていても税理士事務所側では10月分データを預かっているつもりなので、9月分の変更があったことに気付かないなど、行き違いが生じることがあります。

 そのような行き違いを生じないように、訂正がある場合に、会社側のデータを原本として常に訂正を行うか、あるいは会社側のデータを初期データと位置づけて、税理士事務所にあるデータを完成したデータと捉えるかなど、管理の仕方を明確にしておくことが必要です。

◆クラウドによる財務会計システム

 財務会計データをどのように管理するか、同期の取り方など、そしてデータのやり取りなど、いくつかの問題点を一気に解決できるのが、クラウドによる財務会計システムです。クラウドによる財務会計システムであれば、会社と税理士事務所がクラウド上の一つのデータについて、共同で作業を行うことになるので、二つのデータでの作業や、同期といった概念が不要になります。また、クラウド会計の場合は、消費税率の改正などの対応も、クラウド上のシステムで変更を行うので、会社側でバージョンなどの管理を行う必要がありません。また、会社と税理士事務所という使い方の他、親会社と子会社でクラウド上のシステムでデータを共有するなど、使い方の幅も広がります。

 ただ、良いことばかりでなく、セキュリティの問題や、ネットワークに接続できないなどの状況で全く作業ができなくなってしまうなど、クラウドならではのリスクがあります。また、実際に操作すると、もっさりした感じがあり、大量にスピーディに入力するという作業には不向きです。

 

 会社で、財務会計システムを導入する場合に、完成形のデータを会社に置くのか税理士事務所で置くのか、作業のルールをどうするのかなど、検討しなければならない点がいくつかあります。普通は、税理士事務所側で、お客さんに合った形を提案してくれるはずです。前回もお話ししましたが、財務会計の仕組みの作り方は経営者の気持ち次第ですので、定期的に見直しを行いましょう。

記事提供
メールでのお問い合わせの際は、必ず住所、氏名、電話番号を明記してください。

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