税務最新情報

2017年09月11日号 (第335)

無予告の税務調査への対応

 みなさん、こんにちは、8月の末から9月の初め、急に気温が下がりました。びっくりするくらいの気温の変化でした。私は、案の定、風邪を引いてしまいました。

 さて、今回も、税務調査に関する話題をご紹介していきます。

◆無予告の税務調査、どんな場合にあるのか

 税務調査が行われる際に、ほとんどの場合には、事前に税務署から連絡があり、日程調整をした上で実施されます。ごく希ですが、特定の業種については、無予告での税務調査が行われている実態があります。無予告の税務調査の是非については、様々な議論がなされていますが、実務を行う立場からすると実際に行われますし、行われた際にどのような対応をするかという問題があります。

 多くの場合に事前に税務調査の予告があるのに、敢えて無予告の調査が行われるのには理由があります。現金商売で、多くのお客さんが領収書を受け取らないような業種などは、売上の除外などの不正を事後的に裏付けることが難しいからです。もっとも典型的なのは、飲食店などの業種です。飲食店の場合は、利益率も店舗によってばらつきがありますし、現金による決済の割合が高いので、不正が行いやすいという実情もあります。まじめな経営者からすると不愉快な話しですが、税務署の立場からすると真面目かどうかは、調査してみないとわからないという雰囲気でしょうか。

◆無予告の調査で何を見られるのか

 無予告の調査で行われるのは、朝の時間帯に店舗や経営者の自宅に行き、「昨日の売上の現金はどこにありますか?金額を数えてください。」などという雰囲気で始まります。理論的には、昨日の売上はないということはないので、銀行に預け入れしたか、経営者が保管しているケースが多いので、その残高を確認して日々の売上高と概ね一致しているか?昨日のレジの売上と釣り銭を調整して金額が妥当か?などの検討を行います。

 飲食店の場合には、ランチ営業をしていると仕込みなどの準備があるので、多くの場合は最低限の確認をして、その場はいったん終了というケースが多いです。いずれにしても、事前の調整無しで来られるわけですから、その場では、手短に帰っていただくように、主張してもよいでしょう。

◆どのような対応をすべきなのか

 無予告の税務調査に対しては、強制調査ではないので、今日は都合が悪いとか、税理士が立会のときに改めてお願いしますという対応も一つの方法です。ただ、税務調査を行う側は、年中、無予告の税務調査をしている慣れた立場なので、一般の納税者が、その場で毅然とした態度をとって、帰ってもらうのは難しいかもしれません。

 一方で、必要な部分の確認をしてもらって、早々に帰っていただくという対応もあります。

 無予告で、納税者の都合を考慮せずに、税務調査に来られれば感情的になる気持ちはやむを得ないと思いますが、完全な拒絶をすると不正を疑われる可能性もあり、トータルで考えた場合、調査の長期化に繋がるなどの懸念もあり、悩ましいところです。

 飲食店など、現金商売の場合は、無予告の調査があり得ることを覚悟しておくこと。また、調査の前には、税務署の職員がお客さんとして来客し、その日の時間帯のお客さんの入りなどを確認していることが多い点などを、知っておくことが一つの対応です。

 また、実際に無予告の調査が行われた場合にどのような対応をするかについては、経営者だけでなく従業員も含めて対応を検討しておくことが必要です。

 私自身は、アポ無しの来訪や営業の電話に対しては、かなり不愉快に感じます。なので、いらつく納税者の気持ちは、理解できますが、「痛くもない腹を探られる」のも困ります。特定の業種については、いつかは無予告の調査があるかもしれないと、気持ちの準備をしておくことが重要です。

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