税務最新情報

2017年08月21日号 (第333)

印紙・切手の管理

 みなさん、こんにちは、お盆も過ぎ夏もあっという間に終盤です。以前は、お盆明けから税務調査の季節という雰囲気でしたが、最近は着手が早く、お盆の前から税務調査に来るケースが増えています。

 さて、今回は、初歩的な話しですが、税務調査にちなんだ話題として、切手や印紙の管理について、ご紹介していきます。

◆会社での印紙の取扱い

 多くの会社で、印紙や切手を利用すると思いますが、どのように管理されているでしょうか。そして、もう一つ気にしてほしいのは、会社の決算書に貯蔵品勘定が計上されていますか?ということです。

 現実的な話しをすると、切手を使う都度購入しているケースは、ほとんどなく、量の大小はあるにしても、買い置きをされているのではないかと思います。印紙については、ほとんど利用しない会社では、必要の都度購入している場合も見受けられますが、定期的に印紙を利用する会社では、やはり買い置きしていることが多いと思います。

 そして、多くの会社では、領収書に基づいて経理を行うので、切手や印紙の購入の際に、費用計上しています。この処理自体は、間違いではないのですが、厳密には、決算の段階でも未使用のものがあれば、その部分は費用ではないので、資産に振り替える必要があります。

 決算時に、会社に残っている印紙や切手は、まだ費用になっていない部分ですから、それが経費処理されていれば間違った処理となります。

◆貯蔵品勘定

 みなさんの会社の貸借対照表には、貯蔵品勘定は計上してあるでしょうか。計上してあれば、正しい処理がされていることが想定されます。逆に、計上されていない場合には、金額の問題はさておき、正しくない処理の可能性が高いです。偶然に決算時期に、印紙や切手の買い置きが残っていないというケースもあり得ますが、計上すべきものが計上されていないという可能性が高いです。

 お客さんとの会話でも、「ほとんどないよ」と言われてしまうケースがあって、困ってしまいます。なぜなら、決算書を提出された税務署の調査官も同じような着眼点を持ちます。この会社に行けば、貯蔵品の漏れがみつかるかもしれない・・と。会計処理では、重要性の原則という考え方がありますから、数百円分の切手の買い置きがあったとしても、現実的には問題にならないかもしれません。ただ、金額的に僅かでも、貯蔵品を計上していないことが税務調査のきっかけになるかもしれない点は、注意が必要です。些細なことで税務調査が増えるのも考え物ですので、理論的にあるべきものは些細でも計上するべきです。

◆受け払い簿の有無と必要性

 会社によっては、印紙や切手について、受け払い簿を作成している場合もあります。一方で、受け払い簿を一切作成していない会社もあります。

 印紙や切手は、現金と同じような性格があり、換金も可能なので、理想を言えば受け払い簿を付けるべきです。ただ、小さな会社で、印紙や切手を購入するのも社長の奥様、印紙や切手を使うのも社長の奥様という場合には、受け払い簿の作成は現実的ではなくなります。逆に、年間で数百万円の印紙や切手を使うような会社で、複数の人が高額な印紙を利用する場合には、何らかの管理を行う必要があります。

 手間をかけることにもコストが発生するので、バランスは大事ですが、印紙や切手の管理方法について、時々見直すことも必要です。以前は、印紙の在庫などほとんどなかった会社が、数年後には常に数十万円の印紙の在庫をというケースもありがちです。

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