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2017年08月10日号 (第332)

相続財産の評価方法、具体的な路線価図の使い方

 みなさん、こんにちは、原稿を書いている時点で、地震がよく起きました。東日本大震災の記憶が鮮明なので、少し大きめの地震があるとかなり緊張してしまいます。

 さて、今回は、土地を評価する際の、具体的な路線価図の読み方について、ご紹介していきます。

◆路線価図の読み方

 上記は、平成29年の路線価図で、新宿区の靖国通り沿い周辺です。場所の選定は、単純に凡例の記載が見やすく、イメージしやすい場所との趣旨です。青い部分の土地を評価したいという前提で、考えてみましょう。路線価は「1,560B」と記載されている靖国道路に面しているので、1平方メートル当たり156万円であることが読み取れます。同じ靖国通りでも、少し左側に行くと1平方メートルあたり208万円、右側の細い路地に入ると97万円、靖国通りを挟んでその反対側の細い路地は52万円ですから、同じ新宿区の土地でも、僅かの差で金額にかなり大きな差があります。

 次に、「1,560B」のBについてですが、これは、借地権割合が80%であることを示しています。図の右上の方に、Aが90%、Bが80%と借地権割合が記載されています。これは、その土地が借地権であった場合は、所有権を持つ底地権者が20%の価値を有すると評価し、借地権を持つ土地を借りている人が80%部分の権利を持つというように読みます。地主さんより、土地を借りている人の方が、権利が強いことに違和感を持つかもしれませんが、借地借家法により土地を借りている側の権利が強く保護されているので、借地権者の権利の方が大きい場合が多くあります。

 「1,560B」の文字の上下に黒い半円のようなもので囲まれていますが、これは、どのような用途の土地であるかを表しています。左上の方に凡例がありますが、黒い半円は、道路沿いが普通商業・併用住宅地区であることを表示しています。

◆具体的な評価

 上記路線価図の、青色のボックス部分の詳細が下記の図のような場合の、具体的な評価についてご説明します。

 上記の場合は、間口が4メートル、奥行きが10メートルとなります。下記の、国税庁のurlにある補正率表を利用します。
国税庁HP:
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/02/07.htm

①奥行価格補正率 奥行き10メートルの普通商業・併用住宅地区なので、0.99

②間口狭小補正率 間口が4メートルで、普通商業・併用住宅地区なので、0.97

③奥行長大補正については、奥行き(10メートル)÷間口(4メートル)で2.5になるので、普通商業・併用住宅地区の場合は1.00で、補正の必要なし

 路線価に奥行価格補正率を乗じる計算 1,560,000円×0.99=1,544,400円

 Aの金額に間口狭小補正率を乗じる計算 1,544,400円×0.97=1,498,068円

 1平方メートルあたり1,498,068円で、40平方メートルなので、59,922,720円 が、自用地としての評価額になります。ちなみに、単純に路線価に40平方メートルを乗じた場合は、62,400,000円となります。0.99あるいは、0.97の補正率でも、単価が高い場合や面積が大きい場合には、絶対額として大きな差異が生じることになります。

 実際の計算は、下記の用紙にあてはめつつ、計算していきます。上記のA、Eとの記載は、下記の用紙に合わせたものです。

土地及び土地の上に存する権利の評価明細書(PDF):https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hyoka/annai/pdf/1470-5-3.pdf

 さて、余談ですが自用地とした場合の評価額が59,922,720円とのことですから、借地として貸している場合は、借地権割合が80%の地域なので、底地部分の評価は11,984,544円となるなど利用形態によっても、最終的な評価額は大きく変わってきます。

 

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