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2017年06月12日号 (第326)

税法は難しい

 みなさん、こんにちは、新聞を読まれているでしょうか。最近感じるのは、新聞社によって、報道の姿勢にかなり差があることです。昔は、新聞と言えば購読している新聞を読み続けるので、記事の内容に何の疑問を持ちませんでした。最近は、インターネットで、複数の新聞の記事を読み比べることが可能なので、一つの事柄に対して、いろいろな意見を読み取ることが可能です。

 さて、今回は、税法について新聞、雑誌、ブログなどの税法記事を読む場合の注意点についてご紹介します。

◆間違った記事もある

 自分が若い頃は、新聞や専門誌、専門書などに間違った記事が掲載されることは、考慮外でした。極端な言い方、印刷されるまでの過程で、何人もの手にかかっているので、信頼できるものと思い込んでいました。

 しかし、税理士を長くしていると、新聞等での税法に関する誤った記事を見かけることも比較的よくあります。一般紙ではなく、専門誌や専門書でも間違った記載があり、一定期間後、訂正記事が掲載されているケース、専門書の書籍の場合は出版社のホームページで訂正箇所について公開されているケースなどもあります。

 また、毎年のように税制改正があり、その税法の解釈に疑義が生じることがあります。その場合に、どのように理解するかはその時点での専門家の判断で行う必要がありますが、その分野で有名な税理士の見解や、法律の立法担当に携わった主税局出身の税理士の見解が、国税庁の公開するQ&Aや、後から公表される通達で覆ることもあります。つまり、答えが微妙だった部分に、国税庁が後から、結論を出してしまうようなケースです。

◆正しい記事を見分ける方法

 経営者のみなさんが、税法に関する記事で正しいか否かを判断するのは難しいですが、インターネットであれば、国税庁のサイトは安心感があります。自分の関心がある記事を新聞や雑誌、ブログなど見た場合は、国税庁のサイトで細部について検討すると、間違いは起きにくいはずです。もちろん、相談できる税理士がいる場合は、相談するのが手っ取り早いです。

 書籍などで注意しなければならないのは、最新の税法に対応しているか否かです。毎年のように税制改正が行われているので、数年前の書籍では今の制度とは内容が大きく変更になっているケースもあります。逆に、最近の税制改正は、2年後から施行、あるいは数年後から施行などというケースもあり、まだ新しい税法が施行されていないケースもあるので、自分が利用しようとしている年度の税制なのか否かという視点も必要です。

◆記事を読む際の読み方にも注意が必要

 税法で、ややこしいのが日本語だと税金が「かかる」、「かからない」の二つなのに、源泉所得税であれば、非課税だからかからない、源泉徴収の対象でないからかからない、金額の基準で満たしていないからかからないなどの理由があります。また、消費税であれば、対象外取引だからかららない、非課税だからかからない、輸出免税だからかからないなどのケースがあります。これらの部分が、ブログや一般紙などでは曖昧になっていて、読み違えることがあります。特に税金がかからない理由がなんであるかは、非常に重要ですので、その部分を気にして読むようにしましょう。

 また、新聞や雑誌などで、判例や裁決が紹介されていることがありますが、その際にも結論だけでなく、プロセスについての検討も必要になるので、注意が必要です。

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