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2017年04月20日号 (第321)

ふるさと納税に規制?

 みなさん、こんにちは、異常に暑い日があったかと思うと、急に寒くなるなど寒暖の差が激しく、体調を崩している方が多いのではないでしょうか。

 さて、今回は、税制改正の内容については一段落したので、コーヒーブレイク的に身近な話題です。ふるさと納税に関して規制が行われるというニュースが入ってきましたので、ご紹介します。

◆もっとも節税効果の高い節税手段

 税理士をしているとお客さんからの期待は、節税に関する情報です。自信を持って勧められるものは、それほど多くありません。古くからあるものとしては、必要な物を購入する、不要な物を捨ててしまう、経営セーフティ共済への加入、ニーズに合った保険がある場合の保険加入などですが、最近一押ししているのは、ふるさと納税です。

 基本的には所得税での利用になりますが、法人の場合でも、役員報酬を高めに設定することで、法人税を節約、所得税についてふるさと納税の恩恵を受けることで、間接的に経営者がメリットを得ることは可能です。

 ふるさと納税を利用する場合に、どの程度の節税効果が得られるかというと、ふるさと納税を行う人の課税所得により変動がありますが、最大で寄附金の額から2千円を控除した金額の節税となります。例えば、10万の寄附を行った場合に、9万8千円の節税メリットがあるということです。ここで、お気づきだと思いますが、10万円を寄附して、9万8千円の節税では、2千円の損になるのではと思われるかもしれません。実は、ふるさと納税を行った場合に、ふるさと納税を受けた自治体がふるさと納税に対して返礼品を送ってくれるケースがあります。寄附金の額に対する返礼品の割合を還元率とか返戻率といいますが、還元率は自治体により様々ですが、60%程度の還元率の自治体が多くあります。

 仮に60%の還元率だと、10万円寄附して、9万8千円の税金が安くなるため、負担額2千円で、6万円の返礼品をもらえることになるので、5万8千円分得するという計算になります。寄附金の控除限度額の関係で、人によって寄附金の上限が変わりますが、節税手法としては破格に有利な選択肢です。

総務省が待った!

 総務省は、4月1日全国の自治体に対して、①寄附額に対する返戻率を3割まで、②宝飾品、時計、カメラを返礼品から外すこと、③高額な物品は返礼品にしないこととする通知を出したとのことです。

 理由としては、返戻率が高いことにより、寄附金のうち返礼品に充てた部分が本来の趣旨である地域活性に活用できていないということです。制度的には、寄附金により収入が増える自治体もある一方で、居住地以外への寄附によって収入が減る自治体も発生します。結局、本来納付されるべき収入について、返礼品のコスト部分が持ち出しになりますから、全体という枠組みで見た場合は問題がある制度という見方もできます。

 通知には、強制力がないことから、各自治体がどのような対応を取るかは不明ですが、その通知に対して山形県知事が会見で、「過熱気味でもいいのではないか」との発言を行っています。税収が減少した自治体にとっては控えめになってほしいところですが、ふるさと納税で収入が大きく増加しているような自治体では、やめるにやめにくいという事情もあるでしょうから、方向性が見えません。また、ふるさと納税で、全国的に有名になった自治体も多くあり自治体の宣伝効果が高く、続けていきたいとの事情も多くあると思います。

 個人的には、ふるさと納税を行うことで、食べたことがない地域の特産品を食べる機会が生じることも嬉しいですし、それ以上に寄附に対して丁寧なお礼をされるという仕組みが素晴らしいと思います。自分の住んでいる自治体への住民税の納付は、特別徴収という仕組みと、納税に対してお礼をするという土壌がないので、味気ない感じは否めません。

 仮に、総務省の通知を受けて、返戻率が3割となったとしても、他の制度に比べると節税手法として有利な点は変わりません。チャンスがあれば、是非お試しください。

ふるさと納税のちょっとしたコツ

 ふるさと納税について、気を付けなければいけないのが寄附金の額です。寄附金なのだから、たくさんしても問題ないのですが、自己負担が2千円になるようにというのが、一般的なふるさと納税の利用の仕方です。限度額については、下記をご参照ください。

参考:【総務省】ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税のしくみ・税金の控除について」

 実際にふるさと納税を行う際には、限度額をおおざっぱに意識しながら、少し控えめに寄附していって12月に調整を行うというのが理想です。医療費控除や転職など、課税所得が変わると限度額が変わってきます。

 また、寄附を12月にまとめて行うと、同じ時期に返礼品が届いて、冷蔵庫に入りきらないというケースもあるので、可能な範囲で時期をばらばらにするのが望ましいです。あるいは、12月に寄附を行う場合でも、寄附額がまとまっていて、返礼品が集中しそうな場合は、毎月返礼品を送るとか、旬の時期に季節の品を送りますというような自治体を選択するのも有効です。

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