税務最新情報

2017年03月21日号 (第319)

平成29年度税制改正 取引相場のない株式の評価に関する改正

 みなさん、こんにちは、確定申告が終了して季節は春になりつつあります。そして、3月を決算月とする法人が多いので、決算の季節とも言えます。3月も残すところ、10日ですが、決算前にやっておくことがないか、ご確認ください。貸倒れの処理を確実に行うための債権放棄や、固定資産の除却、含み損のある株式の処分など、会計期間中に行うべき節税策がないかの検討、あるいは、消費税関係の届出など、決算日までに行わなければならない事柄に注意しましょう。

 さて、今回は平成29年度税制改正の、取引相場のない株式の評価に関する改正点をご紹介します。取引相場のない株式、つまり非上場の株式の評価ということで、中小企業には密接な内容ですが、かなり複雑な仕組みになっています。税制改正の内容が一段落した段階で、全体像について説明を行うこととして、今回は改正点について概観していくことにします。

取引相場のない株式の評価の概要

 ボリュームの問題から今回は詳しくは説明を行えませんが、取引相場のない株式については、会社の純資産額と類似業種との比準により評価を行います。純資産額は、会社の財産額から株式の評価を行う方法であるのに対して、類似業種との比準は、同業種のサンプル企業の利益、配当、純資産と比較することで収益性などを織り込んだ評価の方法です。一般的には、純資産による評価より類似業種との比準による評価の方が、評価額が小さく計算されますが、類似業種との比準による評価が全面的に認められるのは、大会社に限定されています。小会社に該当する場合は、類似業種との比準で50%、純資産評価で50%と折衷した評価方法で計算を行うことになります。中会社については、その中で、3区分に別けて取扱いが定められていますが、会社の規模が大きくなれば、類似業種比準の割合を高く利用できる仕組みとなっています。

 なお、今回の改正は平成29年分の評価から利用されます。基本的に納税者にとって有利な改正です。

類似業種の株価

 類似業種の比準による評価を行う際に、類似業種の株価の数値を利用します。従来は、課税時期の月以前3ヶ月の株価と、前年の平均株価の中で、低いものを利用できたのですが、今回の改正で、課税時期の属する月以前2年間の平均を利用することも認められました。

 これは、株式市場が急上昇したような局面で相続があった場合に、株式が高く評価されることに対して、緩和できるように配慮したものです。以前より選択肢が増えることで、より有利な評価が可能になります。

類似業種と比準する際のウエイト

 類似業種と比準した評価を行う際に、類似業種の①配当金額、②利益金額、③簿価純資産額との比較を行いますが、従来は1:3:1と利益金額重視だったものを、1:1:1のウエイトにします。これは、平成12年度税制改正以前に戻す形の改正で、収益性重視だったものをフラットな形にしました。業績の良い会社の株式の評価額が低くなるという傾向があります。一方で収益力は低いけれども純資産が豊かな老舗などには株式の評価額が高くなるような影響があります。

会社規模の判定

 現在はパブリックコメント(3月30日まで)の段階ですが、会社規模の判定は以下のようになります。

規模区分

区分の内容総資産価格
(帳簿価格によって計算した金額)及び従業員数 
直前期末以前
1年間における取引金額        

大会社

従業員数が70人以上の
会社又は右のいずれかに
該当する会社

卸売業20億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) 30億円以上
小売・サービス業15億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。)20億円以上
上記以外の業種15億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。)15億円以上

中会社

従業員数が70人未満の会社で
右のいずれかに該当する会社
(大会社に該当する場合を除く。)

卸売業7,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)2億円以上
30億円未満
小売・サービス業4,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)6,000万円以上
20億円未満
上記以外の業種5,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)8,000万円以上
15億円未満
 

小会社 

従業員数が70人未満の会社で右のいずれにも該当する会社

卸売業7,000万円未満又は従業員数が5人以下2億円未満
小売・サービス業4,000万円未満又は従業員数が5人以下6,000万円未満
上記以外の業種5,000万円未満又は従業員数が5人以下8,000万円未満

 従来に比べて、大会社に該当するケースが増え、純資産の影響を受けない評価を選択できる会社が増加することになります。

 

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