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2016年12月05日号 (第308)

年末調整の実務 1

 みなさん、こんにちは、12月になりました。忙しい時期ですがビジネスにとっても重要な時期です。体調を崩さないように気を付けましょう。

 さて、今回は年末調整の作業の具体的な部分について、パソコンソフトを使う前提で説明していきます。今回は、入力の手順という点に焦点を絞りますので、詳細については、年末調整の手引きをご参照ください。

個人情報について

 年末調整の対象となる本人及びその家族などの個人情報の入力が必要です。生年月日は、扶養家族に該当するか否か、老年者に該当するか否か自動判定を行うので必ず入力が必要となります。

 障害者であるか否か、同居であるか否か、寡婦に該当するか否かは、自動判定できないので、必要箇所へのチェックの入力が必要となります。

 配偶者控除と配偶者特別控除の判定を行うために配偶者の収入(所得)金額が必要となります。

 給与支払報告書の作成のためにマイナンバーの入力は必要になります。

給与の支給額の入力

 年末調整については、給与計算ソフトを用いる場合と、年末調整の専用ソフトを用いるケースが想定されます。給与計算ソフトを利用して年末調整を行う場合は毎月の給与計算で入力が完結しているはずなので、年末調整ソフトを利用している場合の作業となります。

 ソフトによりますが、源泉徴収簿形式で、毎月の給与を入力する形になっているものが多いと思われます。給与計算ソフトを利用していて合計金額が出力できる場合は、年間の合計金額で入力を行う方法が、ミスが起きにくいと思います。一方で、給与計算ソフトを利用されていない場合で、会計伝票や給与明細のコピーからの入力の場合は月々入力していきます。転記ミスがないように、合計金額の一致など、検証できる仕組みを作っておくことが重要です。賞与についての入力も行う必要があります。

 注意点としては、前職分給与がある場合に、ソフトにより入力箇所は異なりますが、前職分の支給額の入力を行うことです。また、現物支給があった場合なども、入力忘れをしないようにしましょう。

 なお、入力する支給額は、課税支給額です。通勤手当のような非課税給与については、年末調整を行う際には、入力をしなくても影響ありません。入力する箇所があっても、時間がない場合は入力しないという選択肢もあります。

 源泉徴収簿の年末調整欄の⑦部分の金額になります。

社会保険料

 社会保険料については、給料から天引きされているものと、天引きされていないものがあります。

 給料から天引きされている部分については、給与計算ソフトで年末調整を行う場合は入力不要です。また、年末調整ソフトを利用する場合は、資料を見ながら月ごとか年間合計で入力を行います。こちらも合計金額などで、入力ミスがないことの検証を行います。

 一方で、給料から天引きされていない社会保険料については、平成28年中に支払った金額を入力することになります。従業員の方が正しく記載してくれていれば、保険料控除申告書から転記すれば済むのですが、記載漏れや記載ミスがあるので原始資料から入力せざるを得ない場合もあります。扶養家族分の国民年金、経営者が加入している小規模企業共済の掛金など失念しやすいので注意が必要です。

 また、中途入社の場合には、前職分の社会保険料、仕事をしていない期間の国民健康保険、国民年金などの支払いがあるので失念しないようにしましょう。

 源泉徴収簿の年末調整欄の⑩⑪⑫部分の金額になります。

源泉徴収税額

 年末調整を行う前の源泉徴収税額の入力が必要となります。月ごとか合計額で入力を行います。前職分給与がある場合は、前職分の源泉徴収額についても入力が必要となります。

 源泉徴収簿の年末調整欄の⑧部分の金額になります。

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