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2016年11月10日号 (第306)

非課税所得について 各論5

 みなさん、こんにちは、年末調整の資料収集などは順調でしょうか。当事務所の場合、年末調整の件数が多いお客さんの場合は、11月までに一通り年末調整関係の入力を完成させておき、12月分の給与あるいは賞与が確定次第、すぐに結果をご報告できるように、前もって入力を完了させておきます。早めに取りかかることで、不足資料があった場合なども慌てずに対処が可能になるので、早め早めの準備がお勧めです。

 さて、今回は、所得税の非課税所得の最後の回になります。内容的には、理屈ではなく、法律でこう決めたからという部分が多いです。理屈ではなく、そういうものかという雰囲気を感じ取っていただければと思います。


◆次に掲げる年金又は金品

 文化功労者年金法の規定による年金

 日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品

 日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品

 学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品で財務大臣の指定するもの

 ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品

 外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品でイからホまでに掲げる年金又は金品に類するもののうち財務大臣の指定するもの

 こちらの取扱いは、完全に政策的な趣旨です。研究、芸術を国として後押ししようというものです。

 文化功労者の年金は、年額350万円ということで、通常であれば課税される金額ですが、功労に報いるという趣旨で課税しないことにしています。受賞者は、学者の他、デザイナー、将棋の棋士、漫画家、プロ野球やサッカー選手、アニメ映画監督など多岐にわたります。

 それ以外の、日本学士院、日本芸術院、ノーベル基金からの賞金なども、その社会的貢献に報いる趣旨で非課税としています。

 これらは、日本の法律で決めてしまったことであり、ノーベル賞について課税としている国などもあるようです。

◆オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において
特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会、
財団法人日本障害者スポーツ協会その他これらの法人に加盟している団体であつて
政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの

 こちらは、最初に紹介したので、説明は省略しますが、文化功労賞などの取扱に比べて、後から立法化されたので、別の項で規定されています。

◆学資に充てるため給付される金品及び扶養義務者相互間において
扶養義務を履行するため給付される金品

 いわゆる給付奨学金や、扶養義務者から受け取る学資金などは、非課税とされています。こちらも、政策的なものですが、感覚的には常識に法律が裏付けをしてくれた雰囲気でしょうか。なお、ここでの取扱は、所得税の取扱です。ちなみに、贈与税でも、扶養義務者からの生活費や教育費については非課税とする取扱があります。

◆相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの

 こちらは、相続税や贈与税の対象となるものなので、所得税は課税しないとする取扱にしています。

◆保険業法に規定する損害保険会社又は外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

 貯蓄性の保険であれば課税するということも考えられますが、ここで規定しているのは、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に対するものです。例えば、資産に加えられた損害に、保険が支払われ、それに対して課税すると、原状回復ができません。また、交通事故でけがをして、保険が支払われたからといって、それに課税するのは酷であるなどという趣旨です。

◆公職選挙法の適用を受ける選挙に関わる公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により
取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第189条の規定による報告がされたもの

 これも、法律で決めてしまったという内容です。選挙活動のために、一定のルールに従って寄付を受けた場合に課税しないという取扱いです。

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