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2016年05月10日号 (第292)

クレジットカードによる納付制度

 みなさん、こんにちは、ゴールデンウイークは、いかがお過ごしでしたか。私は、3月決算法人の決算など、進めたい処理があり、ずっと出勤でした。この原稿もゴールデンウイーク中に書いています。

 さて、今回は、平成28年度税制改正のクレジットカードによる国税の納付制度についてご紹介します。

クレジットカードによる納付

 従来から自動車税など、地方税についてはクレジットカードによる納付が可能でした。地方自治体ごとに、取扱は異なりますが、自動車税以外でも東京23区では、固定資産税・都市計画税、償却資産税、個人事業税、不動産取得税についてクレジットカードによる納付が可能となっていました。ただし、法人都民税・事業税、事業所税など事業者が納付する地方税については、納付番号、確認番号、納付区分の記載がある納付書が必要となるなど、税目によって取扱にばらつきがありました。

 国税のクレジットカード納付については、「マイナンバー制度の活用等による年金保険料・税に関する利便性向上等に関するアクションプログラム」の中で、申請、申告、納付までオンライン上で一括的に処理できるサービスを新たに提供するとしていました。

国税のクレジットカードによる納付の概要

 平成28年度税制改正で、国税の納付手続きについて、クレジットカードに係る事項につきインターネットを利用して入力すれば、クレジット会社に納付を委託することができます。クレジット会社が国税の納付について納税者の委託を受けたときは、その委託を受けた時は、カードによる決済(与信審査終了)が完了した時点で国税の納付があったものとみなして、延滞税、利子税等に関する規定を適用します。

 この改正は、平成29年1月4日以後の納付から利用できます。

 国税の税目に制限はなく全ての税目で利用できます。なお、クレジットカードの利用手数料は、地方税における取扱と同様に、納税者が負担することになります。また、金額は、クレジット会社の取り扱い上、1,000万円未満に限定されているため、高額な納付には利用できない点について注意が必要です。

カードの利用は有利なのか不利なのか

 すでに、お客さんからご質問をいただいているのですが、「カードで納付するとポイントがつくのなら、カードで納付した方が有利ですよね」というものがありました。財務省などの資料によれば、クレジットカードによる国税の納付に利用者側の手数料が必要とされています。手数料がどのくらいかという点がポイントですが、東京都の場合は、下記のようになっています。

税  額

決済手数料

1円~10,000円

73円(消費税込78円)

10,001円~20,000円

146円(消費税込157円)

20,001円~30,000円

219円(消費税込236円)

30,001円~40,000円

292円(消費税込315円)

40,001円~50,000円

365円(消費税込394円)

※以降、税額が10,000円増えるごとに決済手数料73円(消費税別)が加算されます。

 クレジットカードを利用した場合のポイントは、カードの種類により異なるので、一概に言えませんが、ポイントの還元率が0.78%より高ければ、クレジットカードを利用する方が有利になります。もっとも、上記のように決済手数料は1万円刻みなので、100円の納付でも78円の決済手数料など、少額の場合は明らかに不利になることも考えられます。国税の納付でポイントが還元されるかの確認も必要ですが、1%程度の還元率なら、高額な納付であればクレジットカードを利用した方が有利になるかもしれません。ただし、クレジットカードによる納付の上限が1,000万円未満なので、還元率1%なら1,000万円の納付に対して22,000円程度の差異なので、通常は気にしないのではないでしょうか。

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