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2016年05月02日号 (第291)

消費税の改正(高額資産の取得と輸出物品販売場での取扱の変更)

 みなさん、こんにちは、今年のゴールデンウイークは長く休みを取れる人は、かなり長期間の休みになりますね。税理士の業界では、3月決算法人の法人税及び消費税の申告が5月となるので、長期間のお休みは、稼働日数が少なくなることで、負担になり悩ましいところです。

 さて、今回は、軽減税率や適格請求書等保存方式に比べると地味な内容の消費税の改正をご紹介します。

高額資産を取得した場合の仕入税額控除の見直し

 かつて、自動販売機節税と呼ばれる消費税の還付スキームが流行した時期がありました。平成22年度税制改正で、課税事業者が強制される期間に調整対象固定資産の課税仕入れを行った場合の届出書の提出制限を設けることで、そのようなスキームが利用しにくくなりました。しかしながら、PFI事業で巨額の建設工事などで消費税の還付を受けた後、翌年に簡易課税を適用した場合に、非常に巨額の益税となる事案があることを会計検査院が指摘していました。そこで、以下のような制度を導入することになりました。

 免税事業者を除く事業者が、簡易課税制度の適用を受けていない課税期間中に、国内において、高額資産の仕入等(一取引単位に付き税抜き1000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産を取得)をした場合に、その仕入等の属する課税期間からのその課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間まで、事業者免税点制度及び簡易課税制度を適用できないことになりました。

 なお、この改正は平成28年4月1日以後に高額資産の仕入等を行った場合に適用されます。ただし、高額資産の仕入等であっても、平成27年12月31日までに締結した契約によるものには、適用されない取扱となります。

輸出物品販売場での取扱の変更

 平成28年5月1日以後に行われる、輸出物品販売場での販売について、下記のような取扱の変更があります。

・免税対象品の購入下限額が、一般物品及び消耗品ともに5000円以上に引き下げられました。改正前は、一般物品は1万円以上とされていました。

・通常生活の用に供するものに該当しないものとして、「金又は白銀の地金」については免税対象外として規定されました。

・購入物品を輸出物品販売場から直接海外や空港へ直送する場合は、パスポートの提示だけで、販売することが可能となります。従来は、購入記録票の作成が必要とされていました。この改正により輸出物品販売場の負担が大幅に軽減されます。

・商店街組合員であるショッピングセンターと、その商店街組合に係る地区又は地域を、一つの特定商業施設として設置することが認められます。結果として、ショッピングセンターのテナントが、商店街の組合員でなくても、一つの免税手続きカウンターで、手続きを行うことが可能となります。

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