税務最新情報

2016年04月20日号 (第290)

適格請求書等保存方式③

 みなさん、こんにちは、各種報道によると、消費税率の引き上げについて、不鮮明な雰囲気があります。一方で、国税庁のサイトでは、軽減税率制度に関するQ&Aや通達が公表され、予定通りに施行するための準備が着々と進んでいます。

https://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/index.htm

 さて、今回は、適格請求書等保存方式の3回目です。消費税の計算方法と、免税事業者の取扱についてご紹介します。

適格請求書等保存方式の場合の消費税の計算方法

(1)売上げに係る税額の計算

①割り戻し計算

 現行と同じように、帳簿で課税売上高を集計して、税込金額から割り戻して、税率の異なるごとに区分した課税標準である金額に税率を乗じて計算する方法です。

②積上げ計算

 適格請求書発行事業者が、適格請求書又は適格簡易請求書の写しを保存している場合は、これらの書類の消費税を積み上げて、消費税額を計算する方法です。

(2)仕入に係る税額の計算

①積上げ計算

 原則的な方法で、適格請求書及び適格簡易請求書に記載された消費税額を積み上げて、消費税を計算する方法です。

②割り戻し計算

 売上げにかかる税額の計算で、積上げ計算をしない事業者については、帳簿で課税仕入れの金額を集計して、税込金額から割り戻して、税率の異なるごとに区分した金額に税率を乗じて計算する方法です。

 

 実務的には、多くの場合、割り戻し計算を行うように感じます。なぜなら、帳簿からの割り戻しであれば、帳簿の作成を行えば自動で消費税の計算が可能ですが、積上げ計算を行うには、帳簿を作成して、それと別に適格請求書等を集計するという作業が必要になります。また、交通費や自動販売機からの購入など、一定の場合には適格簡易請求書すら存在しない場合に、積上げを行うための資料作りをするというのも、現段階では想定しにくいと思います。もっとも導入が数年後なので、適格請求書等に二次元バーコートなどを埋め込み、読み込めば会計ソフトへの取り込みと、適格請求書の集計が同時にできるなど、インフラが整うことで、積上げ計算が主流になる可能性もあります。

免税事業者等からの課税仕入れ

 免税事業者は、適格請求書発行事業者として登録することができず、適格請求書等を発行することができません。免税事業者から仕入等を行った場合に、経過措置が設けられており、当面は課税仕入のうちの一定割合について、税額控除が認められますが、最終的には仕入税額控除ができなくなります。

平成33年4月1日から平成36年3月31日までの免税事業者からの課税仕入れ

一定の帳簿の記載を要件に消費税相当額の80%を仕入税額として控除可能

平成36年4月1日から平成39年3月31日までの免税事業者からの課税仕入れ

一定の帳簿の記載を要件に消費税相当額の50%を仕入税額として控除可能

 経過期間を終えた平成39年4月以降は、免税事業者からの課税仕入れは、仕入税額控除を受けられなくなります。

 実務的には、オープンしたばかりで免税事業者である飲食店で打ち合わせをした場合、あるいは、免税事業者である個人タクシーを利用した場合には、同じ金額を支払ったとしても、仕入税額控除が受けられなくなります。課税仕入れを行う場合に、相手先が適格請求書発行事業者であるかの確認を行うことになると推測されます。一人親方として、建設業をしている場合などに、適格請求書発行事業者でないことで、外注先になれないなどの弊害が生じる可能性も考えられます。

 現在の制度では、免税事業者でも消費税相当を上乗せして請求して、本来納付すべき金額があったとしても、その部分が益税になっています。一方で、消費税を上乗せしなければ、仕入や諸経費に上乗せされている部分の負担が重いものになります。免税事業者からの課税仕入れについての税額控除が認められなくなった場合は、課税仕入れを行う側が、仕入税額控除できなくなる部分について、値引きなどの対応をしなければ仕事がこないなどということが想定されます。この場合は仕入や経費にかかる消費税は自分が被ることになるので、益税どころか損税になってしまいます。まだ、少し先の話ですが、事業者向けの仕事を行っている免税事業者は、課税事業者の選択について、真剣に考えることが必要となります。

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