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2016年04月11日号 (第289)

適格請求書等保存方式②

 みなさん、こんにちは、新年度を迎えました。税制改正は4月開始事業年度から、新しい法律が適用になる改正が多くあります。このような4月1日から新しい法律が適用されることを施行と呼びます。法律は、国会の議会で成立して、その後、公布(官報に掲載)され、法律で定められた施行日に施行されることになります。ちなみに、消費税率の増税先送りの話題などは、立法済みの法律のため、先送りするためには改めて国会で審議して法律を変更する必要があります。

 さて、今回は、消費税の適格請求書等保存方式の2回目となります。前回、お伝えしたように、適格請求書等保存方式は、消費税率の引き上げとは、切り離した形で条文が作られているので、税率の引き上げや軽減税率の導入がない場合でも、施行される可能性は高いと思われます。

適格請求書の交付義務と記載事項

 適格請求書発行事業者は、国内において消費税が課税される資産の譲渡等を行った場合において、他の事業者から求められたときは、適格請求書の交付義務を負います。

(1)適格請求書

 適格請求書とは、下記の事項が記載された請求書、納品書等の書類をいいます。

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

②課税資産の譲渡等を行った年月日                             

③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、その旨)                                                     

④課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額及び適用税率                                                           

⑤消費税額等                                                       

⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

(2)適格簡易請求書

 適格請求書には、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称が必要ですが、タクシーに乗車した際、小売店などで、必ずしも宛名を記入することは、現実的ではありません。そこで、適格請求書発行事業者が、小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業又は駐車場業等の不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業者である場合には、適格請求書に代えて適格簡易請求書を交付することができます。

 適格簡易請求書は、下記の事項が記載された請求書、納品書その他これに類する書類をいいます。

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

②課税資産の譲渡等を行った年月日

③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、その旨)

④課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額及び適用税率

⑤消費税額等

 なお、適格請求発行事業者が、あらかじめ相手の事業者の承諾を得たときは、適格請求書の交付に代えて、適格請求書の記載事項に係る電磁的記録を提供することが認められます。

適格請求書の交付が困難である場合の交付義務の免除

 適格請求書を交付することが困難である一定の取引については、適格請求書の交付義務が免除されます。一方で、適格請求書の交付が困難である事業者から、課税仕入れを行った事業者については、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入れ税額控除が認められます。

 適格請求書を交付することが困難である事例としては、自動販売機から購入する場合や入場券など証拠書類が回収される場合、中古品販売業者が消費者から仕入れる場合などが想定されます。なお、現行の3万円未満の課税仕入れについて、請求書等の保存を不要とする取扱は廃止されます。

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