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2016年03月10日号 (第286)

消費税の軽減税率②(軽減税率の対象となる品目)

 みなさん、こんにちは、気候は少しずつ春めいてきました。ただし、小売業や飲食業のお客さまとお話をさせていただくと、景況感は冷え込んでいるような雰囲気です。一方で、製造業などでは、東京オリンピックへ向けた動きがみられるなど、明るい材料もあるようです。

 さて、今回は、消費税の軽減税率についての2回目で、軽減税率の対象となる品目についてご紹介していきます。

飲食料品

 軽減税率の対象として、飲食料品という情報は早い段階から報道されてきましたが、具体的に軽減税率の対象となる飲食料品についてご紹介していきます。

 飲食料品とは、食品表示法に規定する食品に該当するもので、酒税法で規定される酒類を除くものとされています。

 ただし、食品であったとしても、次の①及び②は軽減税率の対象とはなりません。

①飲食店業等その他の事業を営む者が行う食事の提供

 テーブル、椅子、カウンターなどの飲食のための設備がある場所で行う飲食料品を飲食させる役務の提供、つまり飲食店における食事の提供は、軽減税率の対象となりません。

 ただし、料理飲食店が、持ち帰りのために容器に入れ、又は包装を施して販売するような場合は、軽減税率の対象となります。つまり、出前やテイクアウトの場合は、軽減税率の対象に含まれることになります。

②相手が指定した場所において行う加熱、調理又は給仕等の役務を行う飲食料品の提供

 具体的にはケータリングサービスや、出張料理などを想定しています。

 ただし、有料老人ホームなど、人が生活を営む場所において行う一定の飲食料品の提供の場合は、軽減税率の対象となります。

 また、食品と食品以外の資産が一の資産を形成し、又は構成している一定の資産については、商品価値が一万円以下であり、価格に占める飲食料品の割合が3分の2超であれば、食品として軽減税率の対象に含まれるようです。

 実務的な視点からは、いろいろな問題点が考えられます。

 飲食店の経営者とお話ししたところ、店内で食べる場合と出前の場合で、値段が変わるというのは非常にやっかいとのことでした。例えば、税抜き800円なら、軽減税率の対象とならなければ税込880円、軽減税率の対象となる場合に864円となります。釣り銭の用意も手間ですし、出前という付加価値が加わるのに受け取る金額が小さくなることについても、現場の側からすれば大きな違和感となります。釣り銭のことだけを考慮すれば、実際には出前を含む料金設定と、店内で食べる料金の税抜き金額に差を設けて、受け取る総額を一致させるなどで対応可能ですが、結局同じ金額を受け取る場合でも、レジに打つ際は、異なる税区分での入力をしないと、正しい消費税の計算が行えないなどの問題が残ります。

 軽減税率の対象商品である食品を扱う事業者だけに影響があるのかというと、普通の会社でも、来客のためのお茶菓子や、打ち合わせの際のお弁当代など、軽減税率の対象となる商品を購入するので、消費税額の計算を行う際に、税区分の異なるごとに管理を行うことが必要になります。

新聞

 新聞等について、降ってわいたように軽減税率の対象になることが決まりました。ただし、新聞と言っても非常に限定的な取扱とされています。

 一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する新聞で、週に二回以上発行するもので、定期購読契約に基づく場合に限定されています。

 別の言い方をすれば、週一回刊行のものは軽減税率の対象とならず、定期購読の場合に軽減税率の対象となる新聞であっても、駅の売店やコンビニエンスストアで購入する場合は、軽減税率の対象とならないことになります。

 実務的な視点では、売る場所で、軽減税率の対象なのか対象とならないのか明確になってくるので、売る側の負担はそれほど生じないと思われます。ただし、購入側では、新聞の定期購読について、軽減税率の対象となるのか否かを判断した上での、区分経理が必要になるので、多少事務が繁雑になるという側面があります。

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