税務最新情報

2016年02月22日号 (第284)

平成28年度税制改正(所得税②)

 みなさん、こんにちは、春一番と報道されたと思ったら、すぐに寒くなるなど、寒暖の差が激しいので、体調管理には気をつけましょう。

 さて、今回は、平成28年度税制改正の所得税について2回目となりますが、新しい二つの制度をご紹介します。

住宅の三世代同居改修工事等に係る特例

 自己の有する家屋に三世代同居改修工事を行った場合に、借入金により改修を行った場合に利用できるローン減税と、自己資金で改修を行った場合の投資型減税のいずれかを、適用することができます。

(1)三世代同居改修工事

 本制度の対象となる三世代同居改修工事とは、次の①及び②の要件を満たす工事で、平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に居住の用に供した場合に適用可能となります。

①調理室、浴室、便所又は玄関のいずれかを増設する工事で、改修後、いずれか2つ以上が複数となるもの

②工事費用の合計額が50万円を超えるもの(補助金の交付がある場合は、補助金を控除した後の金額で判定)

※自己資金による投資型減税の場合は、標準的な工事費用相当額が50万円を超えることとされています。

(2)ローン型減税

 対象となる住宅借入金等は、償還期限が5年以上の住宅借入金等です。

 控除限度額は、下記のとおりとなります。

 

対象工事限度額

控除率

三世代同居工事

250万円

2%

その他工事

750万円

1%

 具体的には、三世代同居工事で250万円×2%で年間5万円、その他工事で750万円×1%で7.5万円の合計額12.5万円が、1年間の最大の控除限度額となり、5年間で最大で62.5万円の税額控除を受けることが可能となります。

(3)投資型減税

 三世代同居改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額の税額控除を受けることが可能となります。よって、最大で25万円の税額控除が可能となります。

 標準的な工事費用相当額とは、三世代同居改修工事の改修部位ごとに標準的な工事費用の額として定められた金額に、その三世代同居改修工事を行った箇所数を乗じて計算した金額です。

セルフメディケーション推進のためのスイッチOTC医薬品による控除制度

 セルフメディケーションの推進のため、スイッチOTC医薬品の購入費用を対象とする所得控除制度で、国税及び地方税で創設されます。スイッチOTC医薬品とは、要指導医薬品及び一般医薬品のうち、医療用から転用された医薬品をいいます。よって、医薬品すべてが対象となるわけではありません。

(1)制度の内容

 健康の維持増進及び疾病の予防への取組として、①特定健康診断、②予防接種、③定期健康診断、④健康診査、⑤がん検診など一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る、一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価を支払った場合に、その年中に支払った対価の額の合計額が1万2千円を超える時は、その超える部分の金額(上限8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除できる制度です。

 なお、支払った対価の額は、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補填される部分の金額を除きます。

(2)医療費控除との関係

 本制度は、医療費控除と重複適用はできません。医療費の金額が大きい場合には、従来の医療費控除を受ける方が有利となります。一方で、スイッチOTC医薬品の購入はしていたものの、年間の購入額が10万円以下で医療費控除が適用できなかった場合には、本制度の利用がマッチします。医療費控除と本制度では、対象となるものの範囲が異なりますが、実務上は医療費控除の裾野を広げるような運用になると思われます。

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