税務最新情報

2015年12月21日号 (第280)

源泉徴収税額表

 みなさん、こんにちは、今年最後の税務情報となりました。ビッグニュースと言えば、消費税の軽減税率、ついに決まりました。政治主導で決まった側面があり、インボイスや軽減税率の範囲など、課題が残る制度としての船出という雰囲気です。軽減税率については、他の平成28年度税制改正と併せて、来年以降の税務情報でご紹介していきます。

 さて、今回は、1月になって最初の実務で、間違いが多そうな、源泉徴収税額表についての注意喚起です。

平成28年分源泉徴収税額表

 年末調整に関する書類と一緒に平成28年分源泉徴収税額表が税務署から送付されてきているはずです。ここで、気をつける必要があるのは、平成27年分と内容が変更になっている点です。税率の変更であれば、1ページ目から源泉徴収の金額が変更になっているので、すぐに気づくのですが、平成27年分と平成28年分は途中まで、ずっと同じ金額が並んでいるので、一見すると、変化がないように見えるところが落とし穴です。

 少々細かい話になりますが、甲欄適用の場合は、社会保険料控除後の給与金額が100万1千円以上の人から、源泉徴収税額が変更になります。乙欄適用の場合は月額40万4千円以上の人から源泉徴収税額が変更になります。

 こちらは、下記の記事のとおり給与所得控除が給与収入額1,200万円で打ち止めになった影響で、別の言い方をすれば給与収入額が1,200万円を下回っている場合には影響がありません。

https://www.tohoren.or.jp/taxinfo/20140203583.html

 このような一部だけの方が対象になる改正は、ミスが起きやすいので、注意が必要です。甲欄適用の場合は月額100万円が目安ですが、乙欄適用の場合は月額40万円でも数字が変わる点は気にしておいてください。

 なお、平成29年になると、さらに給与所得控除の上限が小さくなるので、来年にも同じような問題が生じます。

12月分の給料を1月10日に支払う場合の年末調整

 新しく関与するお客さんから、時々ある質問で、「12月分の給料を1月に払う場合は、年末調整に含めるのですか」というものがあります。誤った処理として、12月分で1月10日支給日分を年末調整に押し込む形で、2月10日~翌年1月10日支給日分で、年末調整をしているケースも散見されます。この点については、単純に1月10日~12月10日に支給する給与で、年末調整するのが正解です。

 年末調整は、本年中に支払の確定した給与が対象になるのですが、この場合の確定した日は、契約又は慣習により支給日が定められている給与については、その支給日とされています。つまり、翌月10日が支給日とされている場合は、12月分の労働に対応するものであったとしても、あくまでも支給日である1月10日が確定した日付となり、来年分の年末調整に含めることになります。平成27年12月の労働の対価であったとしても、平成28年1月10日が支給日の場合は、平成28年分源泉徴収税額表の対象になるのでお気をつけください。

 ただし、12月25日が支給日であるにも関わらず、会社の資金繰りの都合で、翌年の1月10日に支払われたような場合は、従業員にとっては、本来の支給日である12月に給与の収入があるものとして、年末調整に含めることになります。

 なお、会社の決算であれば、12月分の労働の対価ですから、翌年1月10日に支給されるとしても、12月分の給与として未払金を計上するのが正しい処理となります。この当たりの違いは、所得税の取扱と法人税の取扱の差異から生ずるものであり、割り切って考える必要があります。

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