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2015年10月20日号 (第274)

国外居住親族に係る扶養控除について

 みなさん、こんにちは、マイナンバーの通知カードが発送されはじめている時期です。自治体によって、届く時期については、ばらつきがあるそうです。ちなみに10月5日以降、マイナンバー付きの住民票を取得することが可能となっており、すでに自分のマイナンバーを確認している人もいるそうです。
 さて、今回は、国外居住親族に係る扶養控除について、国税庁よりQ&Aが公表されたのでご紹介していきます。

◆新たに必要となる書類

 平成28年1月以後に支払う給与などから、国外親族に係る扶養控除、配偶者控除などの適用を受ける場合は、会社に「給与所得の扶養控除等(異動)申告書」を提出する際に、その国外居住親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」を提出または掲示しなければならないこととされました。なお、送金関係書類については、送金の事実の確認が必要となるため、扶養控除等申告書を提出する際ではなく、年末調整を行う時に提出又は提示となります。
 また、確定申告において、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合は、確定申告書に「親族関係書類」及び「送金関係書類」を添付または提示しなければならないことになりました。

◆親族関係書類とは

  親族関係書類とは、下記のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものとなります。なお、その書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文も必要になります。

  1. 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族のパスポートの写し
  2. 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)

 なお、1を見て気づかれた方もいらっしゃるかと思いますが、外国人の方だけが対象になるわけではなく、日本人の方で、子供が長期留学などをしている場合にも必要になります。

◆送金関係書類とは

 送金関係書類とは、下記の書類で、居住者がその年に国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、行ったことを明らかにするものをいいます。

  1. 金融機関の書類又は写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類。こちらも、外国語で記載されている場合は、その翻訳が必要となります。
  2. クレジットカード会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード会社のカードで、国外居住親族が商品
    を購入したことなどにより、その商品購入代金相当額の金銭をその居住者から受領していることを明らかにする書類。

 なお、実務的な視点からは、金額の基準が気になるところですが、国税庁のQ&Aでは金額基準を公表していません。また、生活費又は教育費に充てるための支払いを都度、各人に行っていることが要件とされているため、複数年分を送金している場合は、送金した年度でしか送金関係書類に該当しないことになるので注意が必要です。
 送金手数料がもったいないので、直接手渡しをしているという話を耳にすることがあります。国税庁Q&Aでは、手渡しの場合は、送金関係書類がないため扶養控除等を適用することができないとしているので注意が必要です。

 

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