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2015年10月13日号 (第273)

登録国外事業者が公表

 みなさん、こんにちは、10月2日に、所得税法施行規則が改正され、本人交付用の源泉徴収票には、マイナンバーの記載が不要となりました。以前から、要望などは出ていましたが、実務が始まる直前の改正ですのでご注意ください。

<法定調書提出義務者・源泉徴収義務者の方へのお知らせ>

 さて、今回は、平成27年度税制改正で、消費税の取扱が一部変更となりましたが、10月1日より施行となる部分があり、同じ日に登録国外事業者が公表されたので、それらに関してご紹介していきます。

◆電気通信利用役務に関する取扱の概要

 平成27年10月1日より、電気通信利用役務について、内外判定について取扱が変更となり、それに伴い新しい課税方式が導入されました。

1、内外判定の取扱の変更
 消費税は、国内の取引に対して課税される仕組みとなっており、内外判定とは、その取引が、国外取引に当たるのか、国内取引に当たるのかの判定を行うことをいいます。平成27年度税制改正では、インターネットを通じた電子書籍・音楽・映画などのダウンロードサービスや、クラウドサービスなどを「電気通信利用役務」と分類し、その内外判定については、サービスを行う者の住所から、サービスを受ける者の住所で判定するとの改正を行いました。
 具体的には、国外のアマゾンから電子書籍をダウンロードする場合に、従来はサービスを行う者の住所地で判定したため、日本の消費税は無関係でした。しかし、改正後は、サービスを受ける者の住所地で判定することになり、日本の法人がダウンロードを行う場合には国内取引として、日本の消費税が課税されることになりました。

2、課税方式
 日本でサービスを受けていれば、その電気通信利用役務の提供を国外の事業者が行っている場合に、日本の消費税が課税されることになりました。現実問題として、国外の事業者が行うサービスについて、どのように日本の消費税を課税するのかという問題が生じます。
 具体的な課税方式として、電気通信利用役務を事業者向けサービスと消費者向けサービスに分類し、事業者向けの電気通信利用役務についてはリバースチャージ方式、消費者向けの電気通信利用役務については国外事業者申告納税方式という2つの課税方式を用意しました。

国外事業者に対する課税の限界

 事業者向けの電気通信利用役務については、サービスを受ける事業者に、納税義務を転嫁するリバースチャージ方式を採用することで、国外事業者が行う課税取引について、理論上は課税できる仕組みとしました。
 一方で、消費者向けの電気通信利用役務は、消費税の納税義務のない消費者に納税義務を転嫁するわけにはいかないため、リバースチャージ方式は採用できません。そこで、国外事業者が申告を行う形としました。しかし、国外の事業者が日本の消費税を納税することが担保されないままで、仕入税額控除を認めるわけにいきません。そこで、当分の間は、国内事業者が国外事業者から提供を受けた消費者向け電気通信利用役務の提供については、仕入税額控除の適用を認めないことにしました。
 ただし、国外事業者が日本の消費税を納税している場合にまで、仕入税額控除を認めないのでは、消費税の仕組みとして問題が残ります。そこで、「登録国外事業者」から受けた、消費者向け電気通信利用役務については、登録番号が記載された請求書等の保存を要件に仕入税額控除を認める取扱としています。
 「登録国外事業者」が10月1日に公表されました。

 アマゾンやドロップボックスなど馴染みにある会社が登録されています。消費者向け電気通信利用役務の提供を国外事業者から受ける場合には、類似のサービスがある場合は、登録国外事業者からサービスを受ける方が、仕入税額控除が受けられるので有利になります。電気通信利用役務の提供を受けている場合には、ぜひご検討ください。

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