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2015年09月01日号 (第269)

マイナンバー取得時の具体的な本人確認の手法

 みなさん、こんにちは、私の事務所は新宿区にありますが、外国人向けの免税ショップがやたらと目に付きます。大手コン ビニエンスストアなどでも、免税店のシンボルマークが掲示されています。外国人観光客が、まとめ買いなどを行うために、一日の売上高が飛躍的に伸びている店舗もあるということです。思いがけないところに、ビジネスチャンスは転がっています。
 さて、今日もマイナンバー関連の内容で、具体的な本人確認の手法についてご紹介していきます。

本人確認の手法と確認した資料の取扱い

 マイナンバーを従業員や取引先から入手する際に、本人確認が必要となります。中小企業などでは、対面による本人確認を行うことが多いと思われます。また、不動産の使用料などの支払調書を作成する為に、家主のマイナンバーが必要となりますが、このような場合には、郵便やメールなどの手法によってマイナンバーの取得と本人確認作業を行うことになります。
 本人確認は、対面による場合でも、郵送やメールによる場合でも、確認すべき書類は基本的には同じです。
 なお、本人確認の際に、確認した書類は必ずしも保存義務がないので、その後の安全管理措置を考慮すると預からないというのが、手間がかからないように思います。もちろん、安全管理措置を講ずることを前提に、写しを保管しておくことも認められます。
 なお、本人確認は番号法で求められている作業であるため、本人確認書類の写しをとらない場合でも、どのような書類によって、本人確認を行ったかは、記録しておくとよいと思います。

◆どのような書類によって本人確認を行うか

 本人確認については、番号の確認と身元確認という2つのステップがあります。

①番号の確認
 番号の確認は、基本的には、番号通知カードか、個人番号カードによって、番号を確認します。番号通知カードを紛失している場合で、個人番号カードを入手していない場合などは、個人番号が記載された住民票を取得してもらい、その住民票によって番号を確認することになります。

②身元確認
 身元(実在)の確認については、通常は運転免許証かパスポートなど顔写真付きの証明書によって行います。
 
 運転免許証もパスポートも持っていない場合には、在留カード、運転経歴証明書、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、特別永住者証明書、あるいは、これらに類する書類で写真が表示されているもので、個人番号利用事務実施者が適当と認めるもので身元確認を行うことが認められています。個人番号利用事務実施者は、行政機関のことであり、税に関する分野に関しては、国税庁告示として、写真付き学生証、写真付き身分証明書、写真付き社員証、写真付き資格証明書などを例示として公表しています。
 写真付きの証明書がない場合は、以下の書類2つ以上によって、身元確認を行います。

ア.公的医療保険の被保険者証、年金手帳、児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書等
イ.官公署又は個人番号利用事務実施者・個人番号関係事務実施者から発行・発給された書類その他これに類する書類で、個人番号利用事務実施者が適当と認めるもの

 国税庁が告示として公表しているものは、学生証(写真なし)、身分証明証(写真なし)、社員証(写真なし)、資格証明書(写真なし)(生活保護受給者証、恩給等の証書等)、国税・地方税・社会保険料・公共料金の領収書、納税証明書、印鑑登録証明書などです。

個人番号の提供が受けられない場合の取扱い

 マイナンバーについては、大切な番号なので安易に教えてはならないということを誤解して、会社が番号の提供を求めても教えてもらえないケースが考えられます。また、自分の所得が税務署に筒抜けになることを嫌い、敢えて非協力的な対応をするような取引先が存在することも想定されます。研修会などでは、「教えてもらえない場合はどうすれば?」は定番の質問となっています。国税庁のFAQでは、下記のような解説があります。
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 できるだけ番号を提供するよう求め、それでも提供を受けられない場合は、経過を記録しておくことが必要とのことです。
なお、マイナンバーの記載が必要な書類に、マイナンバーを記載しないという実務は避けた方がよいでしょう。マイナンバー制度を軌道に乗せるということが当面の目標ですから、マイナンバーの未記載などは、税務調査の呼び水になる可能性が想定されます。

 

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