税務最新情報

2015年07月01日号 (第263)

源泉所得税等と住民税

 みなさん、こんにちは、日本年金機構から、算定基礎届けに関するお知らせ、厚生労働省からは労働保険料の申告書、従業員の住所地からは住民税の特別徴収の通知書と、役所からの郵便物が多い季節です。
 そこで、今回は、源泉税と住民税について、ご紹介します。

通常は翌月10日が納期限

 従業員に給与を支払う際に、源泉所得税、復興特別所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険と多くの項目について、天引きすることになります。
 源泉所得税と復興所得税を給料から天引きする場合に、源泉徴収という言葉を用います。源泉徴収した、源泉所得税等は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納付が必要になります。
 個人住民税についても、事業主は特別徴収義務者として、全ての従業員について、個人住民税を特別徴収しなければならないこととなっており、給与から住民税を天引きする取扱いとなっています。そして、源泉所得税等と同様に翌月10日までに納付しなければなりません。
 なお、源泉所得税等の場合も住民税の場合も、翌月10日が土曜日、日曜日、または祝日の場合は、その翌営業日が納期限となります。

納期限の特例について

 源泉所得税等の場合でも住民税の場合でも、毎月、納付を行うことは、中小企業にとっては煩雑となります。そこで、半年分まとめて納付する納期の特例という取扱いがあります。源泉所得税等の場合でも住民税の場合でも、納期の特例を利用したい場合は、届出が必要になります。要件は、源泉所得税等及び住民税のいずれも、給与の支給人員が常時9人以下であることです。
 なお、源泉所得税等については、その年の1月から6月までに源泉徴収した源泉所得税等は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した源泉所得税等は翌年1月20日が、それぞれ納付期限になります。
 一方で、住民税の納期限は、6月分から11月分までが12月10日、12月分から翌年5月分までが翌年6月10日となっており、源泉所得税等の納期限と一か月ずれることになります。
 なお、納期の特例を利用する場合に、金融機関に行く回数は減少しますが、金額がまとまってしまうケースがありますので、資金繰りの計画に含めておくことが重要です。

源泉所得税等の納付と住民税の特別徴収に関する実務上の注意点

 源泉所得税等で、注意しなければいけないのは、不納付加算税の取扱いです。納期限までに支払いが間に合わなかった場合に、遅れた期間に応じて延滞税が発生しますが、延滞税は日割り計算されるために早い段階で気づけばそれほど大きな金額となりません。一方で、不納付加算税は、1日遅れただけでも5%の負担が生じてしまいます。仮に、納付すべき源泉税額が100万円の場合は、1日遅れただけで5万円の加算税が生じる可能性があります。不納付加算税が5%となるのは、自発的な納付で、かつ、税務調査による告知があることを予知した場合でないことが要件とされており、税務調査で発覚した場合などは10%の不納付加算税となり、さらに重い負担となります。
 なお、その直前1年間で納付が遅れたことがない源泉徴収義務者、初めて源泉徴収義務者となった場合で最初の納付の際に、納期限までに納付ができなかった場合で、期限後一か月以内に自主的に納付すれば、不納付加算税が課税されない取扱いがあります。
 特別徴収した住民税については、納期限を遅れると延滞金が課税される仕組みになっています。
 また、住民税については、源泉所得税等のように当月の給与の額によって金額が変動するわけではなく、前年の所得に基づいて、従業員の居住する市区町村から届く通知書に基づいて納付することになります。従業員が退職した場合などは、事由発生日の翌月10日までに「給与支払報告・特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を提出する必要があります。この際に、通知書と同時に送付されてきた納付書に印字されている金額には退職者分も含んでいるので、退職者分を控除した金額に修正して納付することが必要になります。退職者分の住民税を、誤って納付し続けるというミスがありがちですので、お気をつけください。



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