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2015年05月11日号 (第258)
出国時課税制度(2) (帰国する場合は?)
みなさん、こんにちは、連休も終わってしまいましたが、いかがお過ごしでしたか。私は、連休中も原稿や研修会のレジュメの執筆で、毎日事務所で仕事でした。連休のある月でも、お客さんへの訪問の回数は減らないので、かえってハードスケジュールになります。
さて、今回は、前回に引き続き出国時課税制度について、ご説明していきます。
帰ってくる予定がある場合は?
さて、海外へ出国する場合に、保有する有価証券などについて、時価で売却したものとみなして、課税されるのが出国時課税制度です。ここで、疑問を持たれる方もいらっしゃると思いますが、出国はするけれども、数年後には戻ってくるという場合は、どうなるのでしょうか。日本に戻ってくるまでの間、有価証券を持ち続けているような場合にまで、課税されるのでは困ってしまいます。
出国時課税制度の適用を受けた者が、国外転出の日から5年以内に帰国した場合で、国外転出の際に有していた有価証券等を引き続き保有している場合には、出国時課税制度による課税を取り消すことができる仕組みとなっています。この場合は、自動的に税金が戻ってくるわけではなく、帰国の日から4か月以内に更正の請求を行うことが必要となります。
なお、帰国した場合でも、国外転出の際に有していた有価証券を売却した場合には、売却した部分について課税が取り消されることはありません。
帰国予定の場合の納税猶予制度
帰国した場合に更正の請求ができるとしても、出国時に売却していない有価証券について課税される仕組であるため、保有資産の大部分が有価証券である場合は、納税資金が不足するという事態が生じる可能性があります。
出国時課税制度の適用を受けた者が、国外転出の日の属する確定申告書に納税猶予を受ける旨の記載をすることで、国外転出をした日から5年を経過する日まで、納税猶予を選択することが可能です。なお、5年以内に帰国する場合は、帰国の日から4か月を経過する日までが納税猶予期間となります。
なお、納税猶予制度を受けるためには、納税猶予額及び利子税に相当する担保を提供することと、納税管理人の届出が必要となっています。
また、事情により海外出張が5年を超えるようなケースも想定されるので、納税猶予の期間については、申請をすることで、国外転出の日から10年を経過する日まで延長できることになっています。
国外転出とは?
さて、国外転出とは、どのような内容を示すのでしょうか。当然、海外旅行などで、短期間の間、海外に行く場合には含まれないことになります。
本制度については、国税庁よりFAQが公表されていて、詳細は下記をご覧頂ければと思います。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/denshi-sonota/kokugai/pdf/02.pdf
上記FAQの中で、国外転出について、「国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます。」と条文通りの説明があります。一般的には、住所地の市区町村に対して、国外転出届を提出することで国外転出となります。
ただし、所得税法基本通達では、住所について、生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的な事実により判定するとしています。つまり、実質的な判断が行われるので、国外転出届出を提出しなければ課税されないというわけではありません。
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