税務最新情報

2015年03月10日号 (第252)

消費税の改正(内外判定の取扱いの変更)

 みなさん、こんにちは、時には暖かい日もあり春めいてきましたね。確定申告期限直前ですが、ちょっとだけお得な情報です。本来は、確定申告して納税を行う場合、3月15日までに納税をする必要があります。ただし、振替納税を選択すれば銀行口座からの引き落としが4月20日となり、一か月以上も税金の支払いを先に延ばすことが可能です。さらに、延納手続をすれば、納税額の半分弱について、今年は6月1日まで支払いを遅らせることが可能です。延納をした場合は、本来は利子税の負担が生じるのですが、今年は金利が1.8%、日割りの端数処理をするので、延納届出額26万円強までなら実質利子税の負担がなしで延納が利用できます。
 今回は、平成27年度税制改正の消費税の2回目です。外国から、電子書籍を購入した場合などの消費税の内外判定についてご紹介します。

従来の取扱いと問題点

 日本の消費税の課税対象となるものは、「国内において事業者が行った資産の譲渡等」とされており、国外で行われた取引、事業者でない個人が資産を売却した場合などは、消費税が課税されない仕組みとなっています。
 消費税法が公布されたのは昭和63年12月30日で、現在のようにインターネットを利用した国際間の取引などは行われていない時代でした。取引が国内で行われたか否かの判定を内外判定といいますが、国内及び国外にわたって行われる役務の提供についは、国内において行われたかどうかが明らかでないため、役務の提供を行う者の事務所の所在地で内外判定を行うという仕組みにしました。これは、明らかでないものについて、白か黒かをはっきりさせる必要があったために、そのように決めたと考えればわかりやすいでしょう。
 ところが、最近はインターネットを通じた、電子書籍、音楽、広告の配信などの電気通信役務の提供が一般的になりました。この場合に、国内の事業者が提供するものについては消費税が課税され、国外事業者が海外から行う役務提供については国外取引として消費税の対象外として扱われてきました。同じ種類の役務提供について、国内事業者が提供するか、国外事業者が提供するかで、税負担に差異が生じ、ひいては、国内・国外事業者における競争条件の不均衡が生じた状態となっていました。
 そこで、平成27年度税制改正により、この取扱いを変更して、平成27年10月1日から適用することとしました。実務にも、かなり大きなインパクトを与える改正です。

内外判定基準の見直し

 今回の改正で内外判定の基準が見直されることになりましたが、全面的に変更があるわけではなく、一部の取引についてのみ取扱いが変わります。例えば、役務の提供が行われた場所が明らかなものについては、従来通り役務の提供が行われた場所で内外判定を行います。また、役務の提供が行われた場所が明らかでないもので、国際運輸、国際通信、国際郵便、保険、プラント建設等に係る情報提供等については、従来通りで変更がありません。
 今回の改正で変更があるのは、下記の内容に限定されています。

電子書籍・音楽・広告の配信等の電気通信回路を介して行われる提供であって、電気通信役務の提供以外の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供や単に通信回線を利用させる役務の提供を除く

 

 このような役務の提供を「電気通信役務の提供」と定義して、従来は、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地で内外判定していたものを、役務の提供を受ける者の住所・居所又は本店・主たる事務所等の所在地で内外判定を行うように改正されます。
 なお、役務の提供が行われた場所が明らかでないもので、上記の「電気通信役務の提供」に該当しない役務の提供については、従来通り、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地で判定することになります。

 国外事業者が行う電気通信役務の提供については、国内取引と判定され、日本の消費税が課税されることになるのですが、その課税方式については、枝分かれして、少し難しい説明となるので、次回ご紹介させていただきます。

 

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