税務最新情報

2015年02月20日号 (第250)

復興支援と中小法人向けの施策

 みなさん、こんにちは、自民、公明両党は、消費税の軽減税率の導入に向けて、制度設計を進める検討委員会の初会合を開いたとのことです。大綱では、平成29年度からの導入を目指して、早急に具体的な検討を進めるとしていましたが、まさに早急にスタートしています。
 さて、今回は、税制改正大綱の内容で法人税に関しては、最後になります。復興支援と、中小法人向けの施策についてご紹介します。

復興支援

 福島復興再生特別措置法の改正を前提に、帰還困難区域など一定の区域内に平成23 年3月11 日において事業所を有していた法人で同法の避難解除等区域復興再生推進事業実施計画の認定を受けたものが、積立期間内の日を含む各事業年度において、その実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業の用に供する施設又は設備の新設、増設、更新又は修繕に要する支出に充てるため、その実施計画に記載された投資予定額の2分の1相当額以下の金額を福島再開投資等準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、損金算入することができます。
この準備金は、企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却制度の適用を受ける場合にはその適用を受ける減価償却資産の特別償却実施額に相当する金額を取り崩すほか、その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日を含む事業年度の翌事業年度から3年間でその2年を経過する日を含む事業年度終了の時における準備金残高の均等額を取り崩して、益金算入することになります。

中小法人向けの施策

 税制改正大綱によると、租税特別措置については、毎年度、期限が到来するものを中心に、廃止を含めてゼロベースで見直しを行うとしています。中小企業向けの施策で、租税特別措置法で定められているものもあるため、今後の見通しについては微妙ですが、平成27年度税制改正においては、法人税法本法の取扱いも租税特別措置法の取扱いも基本的に現状維持という方向です。

(1) 中小法人の軽減税率の特例

 中小法人の所得の金額のうち年800 万円以下の部分に対する税率が本来19%であるところを、15%とする取扱いの適用期限を、2年延長し、平成29年3月31日までに開始する事業年度までとなります。
 また、公益法人等又は協同組合等の軽減税率についても、同様の取扱いです。

(2) 繰越欠損金の控除限度額の取扱い

 中小法人に該当する場合は、欠損金の繰越控除制度において、控除限度額はその年度の所得の金額とされる取扱いは存置されます。なお、この取扱いは、法人税法本法の規定であるため、いつまでとの期限については定められていません。

(3) 貸倒引当金の取扱い

 中小法人に該当する場合は、貸倒引当金について、法定繰入率を利用することができる取扱いが、2年間延長され平成29年3月31日までに開始する事業年度までとなります。また、公益法人等又は協同組合等に認められる割増特例について同様の期間まで延長されます。

※ 中小法人の範囲

 中小法人とは、普通法人のうち、資本金の額もしくは出資金の額が一億円以下であるもの又は資本金もしくは出資を有しないものとされています。ただし、次の法人は除かれています。

ア 大法人との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
 大法人とは、資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人、相互会社及び外国相互会社、法人課税信託に係る受託法人をいいます。

イ 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部を、その全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合において、いずれか一の法人とその普通法人との間に、そのいずれか一の法人による完全支配関係があるとこととなる場合は、その普通法人

ウ 相互会社

エ 法人課税信託に係る受託法人

 なお、公益法人等又は協同組合等の他、人格のない社団等も法人税法の取扱い上は中小法人に該当します。
 最近は、中小法人の判定も難しく読むのが億劫かもしれません。およその理解としては、資本金5億円以上である法人の100%子会社などに該当すると、中小法人に該当しないと考えておくとよいでしょう。気になる場合は念のため税理士に確認しましょう。

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