税務最新情報
2014年12月22日号 (第245)
寄附金の認定について
みなさん、こんにちは、今年最後の税務情報になります。平成27年度税制改正大綱が、年末ぎりぎりで公表されるかもしれないという情報もあり、気になるところです。
さて、今回は、寄附金の応用編ということで、意図して寄附金を支払うということではなく、税務調査の現場などで寄附金が認定されるケースについてご紹介します。
こんな場合に寄附金が認定される
税務の現場で寄附金が認定される場合は、一般的な寄附を行う行為とニュアンスが違うので注意が必要です。一般的には、寄附金を支払ったら寄附金となるというイメージですが、税務ではより広範囲に寄附金をとらえます。例えば、下記のような事例です。
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具体例を書き出すときりがないのですが、寄附するというイメージよりも、適正な代金を設定しなかった場合に寄附金の認定が起こりえると考えてください。
実務上は、寄附するという認識のないまま、知り合いだから、取引先だから、子会社だから、少し便宜を図ったつもりが、寄附金の認定が行われることがあります。
寄附金の認定が起こるとどうなるのか?
仮に、寄附金として認定された場合は、本来、得られる適正な金額を益金に計上して、寄附金とみなされた部分のうち、損金算入限度額を超える部分は損金となりません。
例えば、受取利息を100万円計上すべきなのに、利息をとっていなかった場合には、下記のような、税務的な仕訳を行います。
受取利息は益金となり、寄附金部分は、損金算入限度額を超える部分は損金となりません。つまり、追加で法人税の負担が発生するということなります。経営者の立場からすると自分が善意で損をしているにも関わらず、追加で納税が発生するという、心情的には納得できない結果となります。
実務上は、寄附金を認定したとしても、損金算入限度額以内に納まるため、結果として、課税されないということもあり、表面化しない場合もありますが、注意を払っておきたい部分です。
なお、国外関連者に対する寄附金は、全額が損金不算入という取扱いがあります。国外に、子会社などを設立していた場合などは注意が必要です。親会社の従業員が、子会社の業務を行っていた場合などに、寄附金が認定され、全額損金不算入となれば、大きな税負担につながる可能性があります。
寄附金か否かの線引きは難しい
お金を貸して、利息をとっていないというような場合には、寄附金が発生していたことを認定するのは容易です。
一方で、新製品を開発してサンプルとして配布するとか、新規取引を始めるにあたり特別に割引を行うとか、不動産賃貸にあたりフリーレント期間を設けることは、ビジネスとして一般的に行われます。このような場合には、売上を得るために必要性があるものとして、通常寄附金の認定は行われません。
実務では、寄附金に該当するのかしないのかが、争点になります。値引きとして処理したところ、値引きが異常であるとして寄附金の認定がされたとの訴訟事例もあります。寄附金については、寄附金として認定される可能性について、気にする習慣をつけ、不安な場合は税理士に相談するなど、客観的な視点でチェックすることが不可欠です。
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