税務最新情報

2014年02月03日号 (第213)

所得税に関する改正

 みなさん、こんにちは、税理士の飯田聡一郎です。いよいよ2月ということで、確定申告のシーズンが近づいてきています。源泉徴収票や各種控除証明書など、確定申告に必要な書類は早めに整えておきましょう。再発行などの場合には、思わぬ時間がかかることがあります。
 さて、今回は、平成26年度税制改正の中で、所得税に関する改正について、ご紹介していきます。地味だけれども、影響が大きい改正が含まれています。

給与所得控除の上限の引下げ

 平成24年度税制改正で、給与所得控除の上限が設定され、平成25年分の所得税から給与収入が1500万円を超える場合には、給与所得控除額が245万円で定額となりました。この改正で、給与所得控除の問題点については、一段落ではないかと思われていたのですが、平成26年度税制改正で、更なる改正が行われました。
 改正の内容は、下記の通りで平成29年分の所得税からは、給与収入が1000万円を超えると、給与所得控除が220万円で打ち止めとなってしまうというものです。

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 課税所得が900万円超で1800万円以下の所得税率は33%、住民税の税率が10%ですから、仮に1500万円を超える給与収入がある場合には、平成29年以降は、給与所得控除が25万円減少して、年間で107,500円の税負担の増加が生じることになります。
 地味な改正ですが、多くの人に影響を与える改正です。

ゴルフ会員権売却による節税に蓋

 ゴルフ会員権を売却した場合の損失を、給与所得など他の所得と通算することで、所得税の節税が可能でした。この点については、随分前から、毎年のように税制改正の時期になると議論されてきました。
 平成26年度税制改正で、平成26年4月以降のゴルフ会員権の売却によって生じた譲渡損は、他の所得との通算ができなくなりました。
 従来から所得税法では、生活に通常必要でない資産に係る所得の計算上生じた損失について、損益通算をできないこととしていました。損益通算できないものの具体例としては、競走馬、美術品、別荘などがありましたが、今回の改正で、ゴルフ会員権やリゾート会員権を、生活に通常必要でない資産に含めることになりました。
 なお、平成26年3月までの、売却であれば、他の所得と通算することが認められます。含み損のあるゴルフ会員権を保有している場合は、最後の節税のチャンスです。是非、ご検討ください。

少人数私募債の利子を利用した節税に蓋

 所得税は、累進税率であるため、高額所得者は累進税率の対象とならない分離課税となる所得を増やすことで節税をすることが可能です。そこで、自分の経営している会社に、少人数私募債などを発行させ、経営陣が引き受け利子を受け取るなどの手法が利用されてきました。
 今回の改正で、平成28年分からは、同族会社が発行する社債の利息については、総合課税の対象となり累進税率が適用されることになりました。分離課税で20%だった税率が、累進税率の適用で最大55%まで跳ね上がります(厳密には、復興特別所得税が上乗せされます)。

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