税務最新情報

2013年12月25日号 (第210)

平成26年度税制改正大綱のトピックス

 みなさん、こんにちは、税理士の飯田聡一郎です。平成26年度税制改正大綱が公表されました。大企業で交際費が一部損金算入されるという取扱いは、景気に良い影響を与えそうです。
 制度の詳細については、次回以降ご紹介していくことにします。今回は、税理士の視点で注目度の高い内容について、税目ごとに簡単にご紹介していきます。

法人税関係

 秋に公表された「民間投資活性化等のための税制改正大綱」で、設備投資の促進、所得拡大税制など、影響が大きい改正項目が先行して公表されていました。
 年末の大綱で注目度が高いのは、大企業でも交際費の一部が損金算入できるという取扱いです。交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の50%について損金算入が認められるようになります。
 また、ニュース等で注目されていた復興特別法人税は1年前倒しで廃止されることになりました。

所得税関係

 ゴルフ会員権を譲渡した場合に他の所得と損益通算できるという取扱いが、平成26年4月1日以後の譲渡から認められなくなります。ここ数年、毎年のように改正されるとの噂があった項目です。損益通算を利用するために、駆け込みでの販売が急増する可能性があります。
 昨年の改正で給与収入が1500万円以上の人について、給与所得控除の上限が定められました。これについて、漸次引き下げを行い、最終的には給与収入1000万円以上の人は、給与所得控除が220万円で打ち止めとなることなりました。地味ですが、多くの人に影響する改正です。
 少人数私募債を発行して、その利子が分離課税となることを利用する節税手法が存在しました。しかし、平成28年からは、総合課税されることになり、同族会社が発行する社債を利用した節税手法が使えなくなりました。

相続税関係

 個人が医療法人の持分を相続などで取得した場合に、その医療法人が認定医療法人(仮称)であるときに、納税猶予及び猶予税額の免除を認める制度です。医療法人に関する相続税対策が、大きく変わる可能性があります。また、相続税だけではなく、贈与税についても、医療法人の持分について特例が用意されます。医業継続に係る納税猶予制度と一括りにすることができます。

消費税関係

 簡易課税のみなし仕入率が、従来の5段階から6段階に変更されることになりました。金融業及び保険業は第5種事業となり、みなし仕入率が60%から50%になります。また、不動産業は第6種事業に分類されることになり、みなし仕入率は50%から40%に引き下げられます。平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用されることになります。みなし仕入率が変更される業種については、有利不利に関して再検討が必要です。
 消費税率の引上げに伴って、軽減税率が導入されるか否かについて非常に注目されていました。しかし、10%時に導入すると大綱に記載されたに留まりました。10%導入時にとは記載されていないので、どの時点で軽減税率が導入されるのかについては、白紙に近い状態と考える事ができます。

国際課税

 外国法人に対する課税の考え方を、「総合主義」から「帰属主義」に見直すことになりました。OECD加盟国のほぼ全てで、帰属主義が採用されているので、グローバルスタンダードに準拠することにしました。
 この改正により、国際間で二重課税される部分が減少すると共に、課税の空白が減少することが期待されています。

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