税務最新情報

2013年11月20日号 (第207)

民間企業によるベンチャー投資促進税制等

 みなさん、こんにちは、税理士の飯田聡一郎です。今回は、民間投資活性化等のための税制改正大綱で、新しく創設された民間企業によるベンチャー投資促進税制と創業促進のための登録免許税の軽減についてご紹介していきます。
 今回、創設された税制は、投資を行った側で、課税の繰延効果が期待できるため節税に利用できるという側面があります。
 一方で、新規事業を行いたいのだけれども資金が足りない、銀行やベンチャーキャピタルに相談したものの、最終的に資金調達ができなかったなどというケースがあります。今回の改正は、そのような新規事業の資金ニーズがあるベンチャー企業にとって、期待を持てる内容となっています。

ベンチャー投資促進税制の概要

 産業競争力強化法の施行日から平成29年3月31日まので間に、産業競争力強化法に規定する特定新事業開拓投資事業計画について認定を受けた投資事業有限責任組合に係る投資事業有限責任組合契約を締結しているものが、その認定を受けた日以後にその投資事業有限責任組合に出資をし、認定を受けた日から投資事業有限責任組合の存続期間終了の日までの期間内において、特定新事業開拓投資事業計画に従ってその投資事業有限責任組合の組合財産となる新事業開拓者の株式を取得した場合において、その簿価の合計額の80%までについて「新事業開拓事業者投資損失準備金」として積み立てることで、損金算入を認めるという内容です。
 簡単に言えば、要件を満たすファンドへ投資をした場合に、投資額の8割について損金算入できるという内容です。
 つまり、新事業を始める事業者、そのようなファンドを組成する事業者、手元資金に余裕があり課税の繰延をしたい法人、三者三様にメリットがある制度と言えます。もちろん、投資する側は、新事業への投資を行うわけですから、投資に関するリスクはありますが、そのリスク部分について先取りできる点で、改正前に比べて積極的に取り組める環境が整ったと言えるでしょう。

ベンチャー投資促進税制の対象者と適用対象期間

 特定新事業開拓投資事業計画について認定を受けた投資事業有限責任組合に係る契約を締結しているものは、その組合の有限責任組合員に限られます。また、その法人が適格機関投資家である場合には、その組合に対する出資予定額が2億円以上である場合に限られます。
 なお、適格機関投資家とは、この制度にかかる投資事業有限責任組合契約を締結した日を含む事業年度の開始の時に、その他有価証券である株式等の簿価が20億円以上の者をいいます。
 本制度の投資を行うタイミングは、平成26年3月31日以前ということも想定されますが、新事業開拓事業者投資損失準備金として積立て、損金算入が可能となるのは、平成26年4月1日以後に終了する事業年度からとなります。

創業促進のための登録免許税の軽減

 ベンチャー投資への促進税制とは、全く異なる内容ですが、創業促進のために一定の要件を満たす法人設立については、設立に要する登録免許税を軽減する措置が導入されます。
 個人が、産業競争力強化法に規定する認定創業支援事業計画に係る認定を受けた市区町村で、認定創業支援事業計画に記載された特定創業支援による支援を受けて株式会社を設立する場合は、その設立にかかる登録免許税が軽減されます。

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 なお、上記の軽減措置は、産業競争力強化法が施行されてから、平成28年3月31日までに登記申請をする場合に適用されます。

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