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2013年09月10日号 (第200)

国税通則法の改正

 みなさん、こんにちは、税理士の飯田聡一郎です。幾分、過ごしやすい日もあり、少しずつ秋が近づいている雰囲気ですね。以前に書きましたが、税務署の人事異動が7月にある関係で、人事異動後に税務調査に着手するという傾向があります。といっても、調査対象の会社が夏休みであったり、税務署の職員の方も夏休みをとられたりするので、夏休み明け以降、税務調査が本格化するといった雰囲気です。
 さて、今回は、平成23年度税制改正で、国税通則法が大きく改正されたので、国税通則法の改正点の全体像をご紹介していきます。平成23年度税制改正というと随分昔の改正のように感じますが、今年から施行されている内容や、平成26年から適用される内容のものもあり、決して古い話題ではありません。

(1)白色申告の場合も記帳義務

 従来は、個人の白色申告者のうち前々年分あるいは前年分の事業所得、不動産所得又は山林所得の合計額が300万円を超える場合には、記帳と帳簿の保存義務が課せられていました。平成26年からは、事業所得、不動産所得、山林所得がある場合は、所得が生じなく申告義務がない場合でも、記帳と帳簿の保存が必要となります。

(2)更正の請求の期間の延長

 確定申告をした後で、申告した金額が多すぎた事に気づいた場合は、更正の請求という手続で、払いすぎた税金を還付することが可能です。しかし、国税通則法の改正以前は、更正の請求を行うことができる期間は法定申告期限から1年間しか認められておらず、気づいたときには期限切れというケースが一般的でした。期限が過ぎてしまった場合は、法定の手続ではありませんが更正の嘆願を行うことにより、職権更正してもらえる場合もありました。
 国税通則法が改正され、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税については、更正の請求の期間が5年に延長されました。また、平成23年12月1日までに法定申告期限が到来しているものについては、更正の請求という手続はできないのですが、「更正の申出書」を提出することで、還付が受けられる場合があります。

(3)税務調査手続の法定化

 税務調査手続について、法定化されました。平成25年1月1日以後に開始する税務調査について適用されています。
 今年になって、税務調査の立会を何件か行っていますが、昨年までと大きく違うのが、事前通知を行うことと、調査が終了した際に書面で通知が来る点です。
 事前通知は、納税者と関与税理士に、調査の開始日、開始場所、調査対象税目、調査対象期間などを、通知することが義務付けられた改正です。現実的には、最初に電話で日程の調整をして、その後改めて、法律の要件を満たす形式で電話により事前通知が行われているようなところがあり、日程調整の段階で概ねの了解ができている部分を、改めて通知という雰囲気で、やや形式的な側面が強いように思います。
 もう一つ従来と変わったと感じるのは、調査結果について、問題がなければ「更正又は決定をすべきと認められない」という文書が送られてくる点です。追加で納税が発生する場合は、修正申告書の提出など、決着がついた感触がありましたが、追加で納税がないような場合に、太鼓判をいただけるようなイメージで、良い感じです。
 なお、修正申告をした場合には、異議の申立てや審査請求はできませんが、その内容について更正の請求を行えるので、後日、証拠となるような資料が追加的に見つかった場合などは、更正の請求をすることで救済されるケースも想定されます。

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