税務最新情報

2013年01月21日号 (第178)

相続税の基本

 みなさん、こんにちは、税理士の飯田聡一郎です。マスコミから税調の話題が漏れてきていますね。

 平成25年度税制改正の詳細は、大綱公表後にご紹介することになると思いますが、所得税の最高税率の見直しと、相続税の基礎控除の縮小、孫への教育資金の贈与制度の創設などが、今年度の目玉の改正となりそうです。そこで、今回は改正を前に、相続税の基本を確認してみることにします。

◆相続税の負担が生ずる相続は4%程度

 現在、相続税がかかるケースは、全ての相続に対して、4%程度の相続と言われています。つまり、100件の相続のうち、96件は相続税がかからないということになります。
 なぜ、多くの場合で相続税がかからないのかというと、基礎控除の額が比較的大きな額となっているからです。現在、基礎控除は下記のように計算します。

 5000万円+1000万円 × 法定相続人の数

 つまり、相続人が妻と子供2人だとすると、法定相続人が3名ですから、8000万円の基礎控除が利用できるのです。実際の相続税の計算では、相続財産から債務などを控除した後で、8000万円あるか否かの判定になります。
 そして、実際に96%の相続では、相続税がかからないという現実があります。
 この背景には、バブル期に比べて地価が3分の1から4分の1に下落していることがあります。従来は相続税がかかっていた世帯が、地価の下落で相続税がかからなくなってしまったのです。
 なお、この基礎控除については、改正で縮小されることが噂されています。

◆小規模宅地等に対する特例

 相続時に借金など債務がある場合は、相続財産からマイナスの財産である債務を控除することは、純粋な相続財産に対して相続税を課税するという意味では自然な取扱いです。ところが、相続税法では、そのようなマイナス財産でない場合にも、相続財産の金額を計算するに当たって控除できる制度があります。

 影響の最も大きいのは、小規模宅地等の特例です。居住用あるいは事業用の宅地について、一定の面積まで80%減額してくれます。80%で評価ではなく8割引してくれる制度ですから、有効に活用できればかなりお得な制度です。例えば、都内で50坪の宅地を有していて、通常の評価額だと1億円でも、一定の要件を満たせば相続税の計算の際には2000万円でカウントしてよいというものです。

 ただし、平成22年度税制改正で、小規模宅地等の特例の要件が少し厳しくなっているので、有効活用するためには事前の対策が必要な場合もあります。

◆生命保険金と死亡退職金の非課税枠

 小規模宅地等以外でも、生命保険金や死亡退職金については、一定の非課税枠が用意されています。ちなみに、生命保険金や死亡退職金は、厳密には相続財産ではありませんが、相続財産とみなす取扱いとなっています。
 具体的な、非課税枠は、下記のように計算します。

 500万円 × 法定相続人の数

 先ほどと同様、法定相続人が妻と子供2人で3人という場合には、1500万円の非課税枠が生じます。つまり、生命保険金を受け取っていたとしても1500万円以下であれば、相続税の計算に組み込まれないことになります。さらに、死亡退職金についても、同様に1500万円の非課税枠が生じることになります。

 なお、生命保険金の非課税枠については、平成25年度税制改正で縮小されそうな雰囲気です。

◆相続税の計算と配偶者控除

 上記のように、財産額から債務を控除して、さらに評価額の修正をした後、基礎控除を差し引いた金額が、相続税が課税される財産の額になります。その金額を法定相続分で按分した後に税率を乗じ、相続税の総額を求めます。最後に実際に相続した財産の比率で割り振り計算を行います。

 最終的な計算段階で、配偶者にはさらに特典が用意されています。配偶者が相続した遺産については、法定相続分と1億6千万円を比較して、高い方までについては、相続税はかからないとする取扱いです。
 例えば、3億円の遺産を相続したとしても、それが法定相続分相当額であれば相続税はかからないことになります。また、配偶者が遺産の全部について相続した場合は、それが法定相続分を超過していたとしても、1億6千万円までであれば相続税はかからないことになります。
 極端な話し、1億6000万円までの遺産であれば、配偶者に相続させれば、とりあえずは相続税がかからないことになるわけです。ただし、通常は配偶者の世代が近いので、その次の相続の際に、基礎控除が小さくなるなど、先送りすることが常に有利になるとは限りません。

 さて、相続税の仕組みの大枠について、説明してきましたが、噂通り基礎控除が縮小されるような場合は、配偶者にいったん全部相続させるよりも、次の相続で、相続税の負担が軽くなるような工夫が必要なってきます。
 また、既に相続税対策を行っている場合でも、相続税の試算から組み直しになりますので、今年の改正の動向には注目する必要がありそうです。

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