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2013年01月10日号 (第177)
特定期間について(応用編)
明けましておめでとうございます。税理士の飯田聡一郎です。皆さんにとって、良い一年間になるとよいですね。
さて、前回の予告通り、今回は消費税の特定期間について、少し応用的な内容をご紹介していきます。特定期間は、基準期間がない場合、あるいは基準期間の課税売上高が1000万円未満の場合に、免税事業者になるか否かを判定するための二つ目のハードルと考えて下さい。
◆1日ではない日に設立して決算日が月末の場合
前回ごご説明したように、基本的には、特定期間は前事業年度の期首から6ヶ月間を言います。しかし、9月16日に設立して8月末日が決算日のように、1日ではない日に設立して、決算日が末日というケースは実務上はよくあります。この場合に6ヶ月の期間を、9月16日から起算して3月15日までとすると、15日までに売上が計上されるものと、16日以降に売上が計上されるものを区分する必要が生じます。
元々が、零細企業のための免税点制度ですから、事務負担を考えて、この場合は、3月15日の手前の月末である2月末日を6ヶ月の期間の終点とみなす取り扱いとしています。
実務上は、設立が1日でないケースが日常的ですから、必ず抑えておきたいところです。
◆月末以外が決算日の場合
最近は少なくなりましたが、月末以外の日付を決算日とするケースがあります。例えば9月16日に設立して、8月20日決算という場合で考えてみましょう。この場合、設立日からの特定期間を取る場合は、月末ではなく20日を基準としてカウントします。
具体的には、9月20日が1ヶ月目、10月20日が2ヶ月目と数えていき、2月20日を6ヶ月目とみなします。
一つ前の事例のように月末が決算日の場合と、設立の日付は同じなのに、6ヶ月目と、みなされる日付が異なることになるので注意が必要です。
◆決算期変更があった場合
3月1日に設立して、当初は10月末日を決算日としていましたが、10月20日を決算日に変更するケースが考えられます。
この場合は、決算期変更を行った時期によって、特定期間の取り方が変わってくるので注意が必要です。
(1)9月になって決算期を変更した場合
10月末を決算期とする前提であれば8月末が特定期間の末日となります。
そして、9月になってから、決算期を10月20日に変更したことによって、6ヶ月末の翌日から事業年度終了まで2ヶ月目未満となります。この場合は、短期事業年度に該当して、3月1日から8月31日までの期間が特定期間に該当しないことになります。
(2)4月中に決算期を変更した場合
この場合は、決算期の変更後は決算期が月末ではない場合に該当するので、決算日が10月20日として、8月20日が6ヶ月目とみなされることになります。
結果として、6ヶ月末(とみなされた日)の翌日から2ヶ月未満とはならないので短期事業年度には該当しません。よって、設立の3月1日から6ヶ月目とみなされる8月20日までが、特定期間に該当することになります。
同じ、3月1日に設立して、決算が10月20日までの場合でも、短期事業年度に該当するかしないかについて異なる結果になります。
決算期変更のケースはレアケースかもしれませんが、平成25年1月1日以降に始まる事業年度から適用になる改正なので、ひととおり、特定期間に関する応用的な内容をご紹介しました。細かい内容なので、1日以外の設立、あるいは月末以外が決算日の場合に、何か特例があったことを覚えておいていただければと思います。
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