税務最新情報

2020年01月14日号 (第349)

令和2年度税制改正 法人税編②

 みなさん、こんにちは、オリンピックイヤーですが、国際的に不穏な動きがあり、心配です。

 前回に引続き、令和2年度税制改正のご紹介です。法人税に関しての2回目になります。

◆5G(第5世代移動通信システム)税制

 携帯電話に関連して5Gという言葉をよく聞きますが、その5Gに関連するシステムの導入を行う会社が、そのための設備投資をした場合に特別償却又は税額控除を認める制度です。

 青色申告法人で、一定のシステム導入を行う特定高度情報通信システムの普及の促進に関する法律の「認定特定高度情報システム導入事業者」が、上記法律の施行の日から令和4年3月31までに、特定高度情報通信認定等設備の取得等をして、事業の用に供した場合は、その取得価額につき30%の特別償却又は15%の税額控除が適用できる制度です。ただし、税額控除は、当期の法人税額の20%が上限となります。

 一定のシステム導入とは、特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律の認定導入計画に従って実施される、特定高度情報等通信システムの導入のことです。5Gの普及を促すもので、その供給の安定性の確保に資するものとして、主務大臣の確認を受けたものです。

 特定高度情報通信用認定等設備とは、その法人の認定導入計画に記載された機械その他の減価償却資産で、一定のシステム導入の用に供するためのものです。

◆連結納税制度の見直し

 連結納税制度が、グループ通算制度へと大きく仕組みが変更されます。連結納税の特徴は、連結グループの損益通算で、グループ内で黒字企業と赤字企業が通算される点がメリットです。グループ通算制度でも、同様にグループ内で所得の通算ができる仕組みとなっており、得られるメリットは同じものとなります。

 では、何が変わるかというと、今までは、グループ法人の申告を親法人が合算して申告するという仕組みでした。グループ通算制度では、各法人がそれぞれ申告を行うことになります。従来の方法では、修正申告等について、必ず親法人が行う必要がありましたが、新しい制度では、各法人が行うことになり、親法人側の負担が軽くなる仕組みとなっています。一方で、子法人は負担が重くなるように感じられるかもしれませんが、従来の仕組みでも個別帰属額等の届出書という名称の法人税申告書と同様のものを作成していたので、負担が重くなることはないと思われます。

 適用時期は令和4年4月1日以降開始事業年度と、少し先なので、詳しい解説はいずれということで、今回は概要に留めておきます。

◆地方創生の推進

(1)地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除について、適用期限が2年延長されます。

(2)地方活力向上地域等において雇用者数が増加した場合の税額控除について、以下の変更を加えて、適用期限が2年延長されます。

  1. 給与等支給額が比較給与等支給額以上であるとする要件は廃止されます。

  2. 税額控除限度額の計算方法について、増加割合に関わらず次の合計額とします。

     イ 30万円(移転型事業にあっては50万円)✕地方事業所基準雇用者数のうち無期雇用かつフルタイムの要件を満たす新規雇用者数に達するまでの数

     ロ 20万円(移転型事業にあっては40万円)✕地方事業所基準雇用者数から新規雇用者総数(地方事業所基準雇用者数を超える部分を除く)を控除した数

  3. 地方事業所特別基準雇用者数に係る措置における地方事業所特別税額控除限度額を、下記のとおりとします。

     40万円(従来は30万円)✕地方事業所特別基準雇用者数

     なお、特定業務施設が準地方活力向上地域内にある場合には、下記のとおりとなります。

     30万円(従来は20万円)✕特定業務施設に係る地方事業所特別基準雇用者数

(3)企業版ふるさの納税と呼ばれる、認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除について、適用期限が5年間延長されます。また、従来の企業版ふるさと納税では、寄附金が損金算入されることに加え税額控除で実質40%の持ち出しだったのが、税額控除の限度額が大きくなり持ち出し部分は10%となりました。

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