税務最新情報

2019年04月01日号 (第341)

消費税率引上げ・複数税率・インボイス制度に向けて

 みなさん、こんにちは、月になりました。10連休が控えています。手形の決済日、4月末のものが、5月7日決済になります。月末払いの給料の場合、連休前に支給するのか、連休明けに支給するのか、締め日との関係で、難しい問題が生じますが対策できていますか。

 さて、今回からは、今年の10月の消費税率引上げ、複数税率の導入、さらにはその4年後に導入されるインボイス制度について、ご紹介していきます。とりあえず、1回目ということで概要から入っていきます。

◆スケジュールの確認

 2019年10月1日から消費税率が10%に引上げになります。同時に複数税率制度が導入され、食品・新聞等には8%の軽減税率が導入されます。

 2023年10月1日からインボイス制度が導入されます。

 消費税率引上げに関係して、経過措置があります。例えば、平成31年3月31日までに契約をしている場合で、10月以後引き渡しとなる請負契約等に旧税率が適用される。あるいは、旅客運賃等で9月まで支払い済みであれば、10月以降の乗車などでも旧税率が適用されるなどの取扱いです。

 あまり注目されていませんが、消費税率引き上げの1年半後に、小売段階で価格表示をする際に総額表示が義務付けられます。もともと、総額表示が義務付けられていたのですが、消費税率の引上げがあった関係で一時的に税抜き表示が認められ、消費税率の引上げの影響で、それがずるずると延期されているのが現状です。2021年4月1日からは、小売業、飲食店などは総額表示が義務付けられます。

 消費税そのものの話ではないですが、消費税率引上げに関係するレジの入れ替え等の補助金は2019年9月末までとなっています。また、消費税率引上げに合わせて、ポイント還元する制度が導入されますが、ポイント還元を実施したい事業者は平成31年4月1日以降、登録を行う必要があります。

◆インボイス制度の影響

 現行の消費税でも請求書の保存義務があるので、インボイス制度になっても大きな変化はないと思っている方が多いようですが、大きな影響があります。

 現行なら、外注先が免税事業者であっても、請求書の保存があれば、仕入税額控除を受けることができます。ところが、インボイス制度導入後は、免税事業者からの仕入等は、段階的に仕入税額控除の制限がかかり最終的には、仕入税額控除が受けられなくなります。わかりやすい例でいえば、110万円の支払いをして、消費税について10万円の控除を受けられたものが、最終的には全く控除を受けられなくなるのです。

 つまり、免税事業者は消費税相当分安い金額で請求しなければ、課税事業者との価格競争で不利になります。仮に、消費税率相当の値引きを行った場合は、必要経費等については消費税がかかってくるので、大きな痛手となります。この場合は、従来は免税事業者であった事業者も、課税事業者になりインボイスを発行できるようになるべきかの検討を行う必要があります。

 一人親方の建設業や、小売業などで業者向けの販売があるケース、士業・コンサルタントで業者向けの仕事をしている事業者など非常に影響が大きいです。

◆複数税率と請求書の関係

 インボイス制度は2023年からですが、複数税率が2019年10月からとなっており、4年間は、「区分記載請求書」を発行する形になります。実際に、食品の販売など軽減税率の販売を行う事業者では、10月以降の請求書の発行に向けて請求書発行システムの変更の準備が進んでいます。この際に、さらに4年後インボイス制度が導入されることを前提として、インボイス制度に対応するシステムの選定が必要です。インボイス制度を4年後ととらえず、請求書発行などを考えると、今年の10月までの課題となる事業者も多数あります。

 

 複数税率の話題が注目されがちですが、それ以外にも実務的には問題が盛りだくさんです。要注意の分野です。次回以降、もう少し掘り下げて解説していきます。

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