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2014年02月20日号 (第215)
消費税の改正(金銭債権の譲渡の取扱いと免税ショップにおける事務手続)
みなさん、こんにちは、税理士の飯田聡一郎です。二週続けての大雪、大変でした。2月は、元々日数が少ない月ですので、予定の変更などあると、影響が大きいですね。
今回は、消費税の平成26年度税制改正で、金銭債権の譲渡の取扱いと、免税ショップにおける事務手続きについてご紹介していきます。
金銭債権譲渡にも5%特例の導入
消費税の計算の仕組みは、預かった消費税と、支払った消費税の差額を納税するというものです。しかし、支払った消費税の全額について控除できるわけではなく、課税売上の割合に応じて、控除できる金額が変わってくる仕組みになっています。
詳しくは、下記をご覧ください。
http://www.tohoren.or.jp/zenkoku/index.asp?patten_cd=12&page_no=599
結果として、非課税売上の割合が高いと、仕入税額控除できる消費税が減少して、消費税の納税額が増加する仕組みになっています。課税売上の割合を計算する際に、有価証券の譲渡については、譲渡金額の5%部分のみ計算に反映させるという特例が、消費税が創設された当初から存在しました。
消費税が導入されて20年以上が経過し、有価証券の譲渡のみについて特例とすることが、経済環境にそぐわない状況に変化してきました。近年の経済状況下においては、住宅ローンの証券化、企業再生支援に伴うファンドへの売却など、有価証券だけでなく、金銭債権の売買が一般化しており、円滑な金銭債権の譲渡が行えるような環境作りへの期待が高まってきていました。
平成26年度税制改正で、消費税の課税売上割合の計算を行う際に、金銭債権の譲渡については、その譲渡に係る対価の額の5%相当額を、課税売上割合を計算の際の分母となる資産の譲渡等の対価の額に算入することに改正が行われます。
なお、この改正は、平成26年4月1日以後に行われる金銭債権の譲渡から適用されます。
免税ショップの事務手続きに関する改正
外国人旅行者の訪日動機として、ショッピングの期待が高く、外国人旅行消費額全体の30%をショッピングが占めています。しかし、外国人旅行者が日本で購入した物品の購入率が上位となっている食品類、飲料類、化粧品類、薬品類等が免税対象品目から除外されていました。また、免税手続に時間がかかり、外国人旅行者の利便性を損ねているという問題点がありました。
外国人旅行者のショッピングにおける利便性を向上させ、日本における旅行消費を増加させるために、全ての品目を免税対象とするとともに、免税手続を簡素化することとしました。
なお、下記の改正はいずれも平成26年10月1日以後に行われる取引から適用されます。
- 従来は、食品類、飲料類、たばこ、薬品類及び化粧品類並びにフィルム、電池その他の消耗品については、免税対象外物品とされていました。平成26年度改正で、一定の方法で販売することを前提に、免税販売の対象物品に消耗品を追加します。
- 購入記録票等の様式の弾力化及び手続きの簡素化が行われます。
- 1人の旅行者に対して、同一店舗で1日に販売する免税対象物品(消耗品以外の品物)の額が100万円を超える場合には、輸出物品販売場を経営する事業者が保存しなければならない書類に、その旅行者の旅券等の写しが追加されることになります。
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