税務最新情報
2016年09月23日号 (第302)
非課税所得について(総論)
みなさん、こんにちは、オリンピックに続きパラリンピックも終了してしまいました。終わってしまうとあっという間ですね。準備期間と開催期間を比較すると、開催期間の方が圧倒的に短いので、あっという間というのも事実ですが無事終了できて良かったです。お客様が、自治会で夏祭りの準備をしていたところ、雨で中止という話しを聞いて、準備だけをして実行できないこともあるのだなと残念に思いました。
さて、今回のオリンピックではメダルラッシュでしたが、メダリストがJOC(公益財団法人日本オリンピック委員会)から受け取る報奨金は非課税とされています。今回はどのような所得が非課税になるのかご紹介していきます。
◆メダリストに対する報奨金
オリンピックのメダリストが受け取る報奨金でJOCからのものが非課税となる根拠は、所得税法第9条1項14号に次のような規定があるからです。
オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年8月7日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。) 、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和40年5月24日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。) その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの
一般論として、何かしらの表彰を受けた場合に、勤務先から受け取る報奨金は給与所得、それ以外の団体(スポンサー企業等)から受け取る場合は一時所得として課税されます。
オリンピック・パラリンピックの報奨金については、上記の規定があることにより、非課税となる場合があります。一方で、オリンピック・パラリンピックとの規定ぶりから、ワールドカップなどオリンピック以外の競技における報奨金は課税されることになります。
また、上記の規定の通り、支払う相手先は「財団法人日本オリンピック委員会」、「財団法人日本障害者スポーツ協会」、「その他これらの法人に加盟している団体であって政令で定めるもの」と支払先を限定しています。
さらに「交付される金品で財務大臣が指定するもの」によって、金額の上限を定めています。
◆所得税法第9条における非課税所得
所得税法で規定する非課税所得は下記の通りです。条文が長いので要約しています。細かな要件や例外等があるので、あくまで概要と思ってください。個別の論点については、次回以降、ご紹介していきます。
・当座預金の利子 ・小学校、中学校、義務教育学校、高等学校若しくは中等教育学校又は特別支援学校の小学部、中学部若しくは高等部の児童又は生徒が、その学校の長の指導を受けて預入し又は信託した預貯金又は合同運用信託で政令で定めるものの利子又は収益の分配 ・恩給、年金その他これらに準ずる給付で次に掲げるもの イ 恩給法に規定する増加恩給及び傷病賜金その他公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受けるこれらに準ずる給付で政令で定めるもの ロ 遺族の受ける恩給及び年金 ハ 条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて受ける給付 ・給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの ・給与所得を有する者で通勤するものがその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの ・給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの ・国外で勤務する居住者の受ける給与のうち、その勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して受ける在勤手当で政令で定めるもの ・外国政府、外国の地方公共団体又は政令で定める国際機関に勤務する者で政令で定める要件を備えるものがその勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与 ・自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得 ・資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得 ・オープン型の証券投資信託の収益の分配のうち、信託財産の元本の払戻しに相当する部分として政令で定めるもの ・皇室経済法の規定により受ける給付 ・次に掲げる年金又は金品 イ 文化功労者年金法の規定による年金 ロ 日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品 ハ 日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品 ニ 学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品で財務大臣の指定するもの ホ ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品 ヘ 外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品でイからホまでに掲げる年金又は金品に類するもののうち財務大臣の指定するもの ・オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会、財団法人日本障害者スポーツ協会その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの ・学資に充てるため給付される金品及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品 ・相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの ・保険業法に規定する損害保険会社又は外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの ・公職選挙法の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第189条の規定による報告がされたもの |
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