税務最新情報

2025年08月20日号 (第549)

税務調査がオンラインで?

 皆さん、こんにちは。「山の日」が祝日になった影響か、長期の夏休みを取られる方が増えているようです。皆さんは今年の夏、いかがお過ごしでしたか?

 さて今回は、税務調査がオンラインで行われるかもしれないという話題についてご紹介します。

オンラインツールを利用した税務調査

 7月に入り、複数の税務雑誌がオンラインツールを利用した税務調査が実施されるという記事を掲載しました。情報のソースを調べたところ、関東信越税理士会の「国税庁からのお知らせ」が情報源のようです。

https://www.kzei.or.jp/news/zeirishi/2025/07/04-160000.html

 具体的には、調査を実施する際にメール、ウェブ会議、オンラインストレージサービスを利用することが予定されており、今年の9月から金沢国税局と福岡国税局管内に、その他の国税局管内には2026年3月から6月までの間に順次導入される予定です。

 このシステムのベースとなるのは、デジタル庁が提供する「GSS(ガバメントソリューションサービス)」で、以下の資料で仕組みを確認できます。

https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/b5181b0c-6424-4977-b415-b1cbb3301bc8/6fad53cc/20240618_policies_assessment_outline_05.pdf

コロナ時の税務調査

 オンライン調査は全く新しい試みではなく、新型コロナウイルス感染症の拡大時にウェブ会議などを利用した調査の要望があり、2023年7月頃から試行されていました。

https://www.nta.go.jp/users/hojin/daikibo_hojin.0022010-068.htm

 私自身はウェブ会議での調査経験はありませんが、コロナ禍に、対面せずに調査を完了させた経験があります。具体的には電話で連絡を受け、必要な書類を郵送で送付し、書類の確認後さらに追加書類を郵送で補完する、といった流れでした。

 調査を行う税務署側と納税者側の双方にメリットとデメリットがあります。メリットとしては、互いに時間的な拘束がないことや、調査を受ける側の精神的なストレスが大幅に軽減されることです。デメリットとしては、直接会話すればすぐに解決する事や、書類をちょっと提示すれば済む事が、郵送のやり取りで時間がかかり、効率が大幅に落ちることです。

今後の調査におけるオンラインツールの利用はどうなるのか

 これから導入されるオンライン調査の流れは、まず税務調査の連絡は従来通り電話で行われるようです。その後、税務署側が用意した専用のメールアドレスを通じて、事前に資料を送付します。そして訪問の代わりに、ウェブ会議システムを利用して質疑応答を行い、データのやり取りにはオンラインストレージなどを活用することになります。

 コロナ禍の郵送によるやり取りと比べ、ウェブ会議で必要な事項を会話で解決し、オンラインストレージで資料をやり取りすることで、かなり合理的かつ効率的に進められると予想されます。

 

 ただし、オンライン調査は「必要に応じて」行われるものであり、対面での調査がなくなるわけではありません。これまでも簡単な調査は、税務署への呼び出しや電話での書類補完だけで済むケースもあったため、全面的に切り替わるというよりは、調査の選択肢の一つが増える、と捉えるのが正しいでしょう。

記事提供
メールでのお問い合わせの際は、必ず住所、氏名、電話番号を明記してください。

過去の記事一覧

ページの先頭へ