税務最新情報

2025年07月03日号 (第545)

国税庁のインボイスQ&Aが更新

 みなさん、こんにちは。暑い日が続きますが、水分と塩分を補給し、夏バテに注意しましょう。

 さて、4月にインボイスQ&Aが更新されその内容を紹介しましたが、6月に再度更新されましたのでご紹介します。今回の更新にはクライアントからの質問が多い内容が含まれていました。

適格請求書の交付に当たっての金銭的負担

 インボイスについては交付義務が法律で定められています。いつも電子データによるインボイスの提供を行っている事業者が、もし書面でのインボイスの提供を求められた場合、手数料を請求してよいかという質問です。

 この点について、Q&Aでは以下の回答をしています。

 貴社が、適格請求書の記載事項に係る電磁的記録を提供する方法により適格請求書の交付義務を満たすこととしており、電磁的記録による提供ではなく書面による交付を求めてきた事業者に対して印刷代に係る実費相当分の手数料等一定の金銭的負担を求めることとしても、当該手数料等が書面の発行などの事務負担等に係る費用として社会通念上相当と認められるものである場合には、直ちに問題となるものではないと考えられます。

 簡単に言えば、手数料が常識的であれば問題ないとの扱いです。最近は明細の発行を依頼すると手数料がかかるケースが増えています。電磁的記録で交付する仕組みにしている場合には、交付する側で余分な手間がかかるため、法律上の交付義務との兼ね合いで気になる部分でした。

 しかし、「直ちに問題となるものではないと考えられます」と歯切れが悪い書き方になっています。このあたりは、民法486条に受取証書(領収書)の交付義務の規定がある影響で、デリケートな部分なのかもしれません。

適格請求書の交付に当たっての期間制限

 従来から、領収書の再交付を求められるという事案はよくありました。特にインボイス制度が導入されてからは、インボイスの再交付依頼も時々発生するようです。関与先からすると、「複数回交付してよいのか?」、「再交付しないと交付義務を果たしてないことにならないのか?」などの不安があるようで、たびたび話題となる内容でした。

 一度インボイスを交付している場合、または交付していない場合の二つのケースに分けての対応が記載されておりますQ&Aの回答は、以下のとおりです。

 商品の販売時に適格簡易請求書を交付しているのであれば、一義的にはその時点で交付義務を果たしていることになりますので、後日交付を求められた際に、改めて交付する義務が生じることはありません。
 したがって、貴社のように適格簡易請求書を交付のうえ一定期間後にレジシステムによる再交付ができなくなったとしても、消費税法上、何らかの対応が求められるものではありません。
 他方、適格簡易請求書を取引の相手方に一度も交付していない場合には、レジシステムの仕様等により一定の期間しか発行できないとしても、そのことをもって交付義務が免除されることはありませんので、当該相手方から具体的な取引記録が示され、適格簡易請求書を交付すべき事情があると認められる場合には、手書きによるなど何らかの対応を行う必要があります。

 法律上の義務については一旦交付していれば問題ないとのことです。ただし、ありがちな話ですしクライアントが相手の問題ですから、再発行がしやすいシステムを利用するなど、現場での負担が重くならないような仕組み作りも重要です。

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