税務最新情報

2025年05月20日号 (第540)

令和7年4月インボイスQ&Aの改訂 その2

 みなさん、こんにちは。外国人観光客が多く、飲食店などで外国人向けのメニューを用意している店も増え、街の雰囲気がずいぶん変わりました。ビジネスチャンスと捉えている事業者が多いのでしょうね。

 さて今回は、前回に引き続き4月に改訂されたインボイスQ&Aの改訂内容をご紹介します。

適格請求書発行事業者における課税事業者届出書の提出(問17-2)

 インボイス登録事業者は、基準期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合、「課税事業者届出書」の提出が必要かどうかについて、提出しなくても差し支えないという取扱いになりました。 

 この点について条文では明確になっておらず、通達で課税事業者選択届出書を提出している事業者について、課税事業者届出書の提出はしなくても差し支えないという取扱いがありましたが、同様の取扱いとする旨が公表されました 。条文から直接読み取れないため、相当数の問い合わせがあったものと思われます。

予約サイトで事前決済した宿泊予約者に対する適格簡易請求書の交付(問49-3)

 インボイス制度が導入された当初、予約サイトを通じてホテルを予約した際、ホテルからインボイスが交付されないという問題が、税理士の間で話題になっていました。国税庁は「多く寄せられるご質問」として解決策を公表していましたが、今回Q&Aの本編として掲載しました。

 具体的には、予約サイトや旅行代理店等を通じて予約を受け、かつ予約サイト等を経由して決済が行われた場合、領収書ではなく宿泊明細書など、適宜の様式によりインボイスの記載事項を満たした書類(適格簡易請求書)を交付するようにとの対応です。  

任意組合員のうち事業の損益の配賦を受けない者の取扱い(問50-2)

 実務では、JVを利用する場合に下記の取扱いがあります。

 任意組合等が事業として行う課税資産の譲渡等については、その組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、業務執行組合員が、その旨を記載した「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を納税地を所轄する税務署長に提出した場合に限り、適格請求書を交付することができます。

 この例外として、日本で課税資産の譲渡等を行っておらず、日本における事業の損益の配賦を直接又は間接にも受けない組合員については、任意組合等の届出書の対象としなくても差し支えないという取扱いとなりました。

 従来はこのような説明はされていなかったのですが、実務上の要請があり、このような取扱いとなったものと思われます。

任意組合の構成員が帳簿へ記載すべき課税仕入れの相手方の氏名又は名称(問93-2)

 本来、仕入税額控除を受けるためには、インボイスの保存と帳簿に「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」の記載が必要です。JVの場合、幹事会社が上記を記載した帳簿を作成し、精算書を構成員に交付することになりますが、条文的な解釈としては、構成員も改めて「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」を帳簿に記載することが必要となります。  

 この点について、Q&Aでは帳簿の記載事項として、幹事会社の名称及び幹事会社を経由して行った課税仕入れである旨の記載に代えることとして差し支えないとしました。これも新しい取扱いですが、実務上の要請から認められることになったと思われます。

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