税務最新情報

2025年03月03日号 (第532)

令和7年度税制改正 法人税②

 みなさん、こんにちは。国会の動きを見ていると、所得税について大綱の内容から変化があるかもしれない状況で、目が離せない雰囲気です。具体的な変更内容が明らかになった時点で、再度ご紹介することになります。

 さて今回は、令和7年度税制改正の法人税についての2回目です。

企業版ふるさと納税制度の延長

 個人のふるさと納税は返礼品が魅力的なため人気がありますが、法人版のふるさと納税も存在します。法人版のふるさと納税では、返礼品がないため純粋に地方の応援を目的とするほか、企業のPR、地方公共団体等とのパートナーシップの構築などを目的とする利用が増えています。

 計算自体はやや複雑ですが、寄付額の3割が損金算入されるほか、最大で寄付額の6割が税額控除されるため、実質的な企業の負担額は1割となります。

 法人版ふるさと納税(認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除制度)は、適用期限が3年延長され令和10年3月31日まで利用可能となります。

リース取引についての取扱い

 リース取引については、リース会計基準の取扱いに基づき、上場会社などでは会計基準による会計処理が必要となります。一方、税法ではリース会計基準と同様の取扱いとはならず、調整計算が必要となります。

 オペレーティング・リース取引により資産の賃借を行った場合、その取引の契約に基づきその法人が支払う金額は、その金額のうち債務の確定した部分は、その確定した日の属する事業年度に損金算入することになります。会計基準とは異なる取扱いであるため、別表による調整が必要になる部分です。

 新リース会計基準では、リース料を受け取った時点で売上高と売上原価を計上する方法が廃止されることに伴い、税法上もリース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例は廃止されます。経過措置があり、未計上収益額及び未計上費用額を5年均等で益金の額及び損金の額に算入する仕組みが採用されます。

 令和9年4月1日以後に締結された所有権移転外リース取引のリース資産の減価償却は、リース期間定額法の計算で残価保証額を控除しないこととし、リース期間経過時点に1円に達するまで償却が可能となります。

防衛特別法人税の創設

 税額控除適用前の法人税額から基礎控除500万円を控除した額の4%を、防衛特別法人税として課税する仕組みが創設されます。令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

 仕組みとしては、湾岸戦争の際に平成3年に導入された法人臨時特別税と同様で、控除額が300万円から500万円に、税率が2.5%から4%に引き上げられたようなイメージです。法人税が500万円を超える部分に対して税額が発生するので、中堅企業ではすぐに影響がでてきそうな改正です。また税効果会計を利用している場合は、繰延税金資産の計算にも影響してくることになります。

記事提供
メールでのお問い合わせの際は、必ず住所、氏名、電話番号を明記してください。

過去の記事一覧

ページの先頭へ