税務最新情報
2024年05月10日号 (第504)
税務署はどんな視点で申告書をチェックしているのか?
みなさん、こんにちは。ゴールデンウイークが終わってしまいました。穏やかで過ごしやすい気候でした。
さて今回は、情報公開法に基づいて開示された国税庁側の資料を参考に、どのような視点で申告書をチェックしているのかについてご紹介します。
情報公開法に基づく開示
今回ご紹介する文書は、情報公開法9条1項による開示請求により明らかになった「法人税及び消費税等の処理における誤り易い事例とそのチェックポイント」とされる事例集で、国税庁調査課及び東京国税局調査審理課が令和5年9月に作成したものです。
情報公開法に基づく開示では、課税庁内部の様々な資料が開示されていますが、各税法の質疑応答事例集や誤りやすいポイントなど、納税者が自分のミスを防止するのに役立つ情報なども含まれています。
勘定科目内訳明細書等のチェックポイント
今回の文書は300ページ以上に及ぶ内容なので、税法改正など細かな内容も多いのですが、納税者の視点で興味深そうな勘定科目内訳書がどのようにチェックされているのかについて、概要を紹介していきます。
(1)売掛金・未収金
① 貸倒引当金の設定の際に、買掛金あるいは未払金と比較して相殺状態になるものが反映されているか否か
② 未収消費税など、貸倒引当金の設定対象とならないものを含めていないか
③ 異動がないもので、実質貸付金として、受取利息の認定が必要なものはないか
(2)仮払金・立替金等
① 仮払税金が計上されている場合に、申告調整がされているか否か
② 実質的に貸付金と認められるものがないか否か
(3)貸付金
① 役員等への貸付金に対する受取利息は適正か否か
② 関係会社等への貸付金に対する受取利息の減免は行われていないか
(4)固定資産
① 土地の譲渡がある場合に、課税売上割合が正しく計算されているか
② 固定資産の譲渡がある場合に、消費税の申告書に反映されているか
(5)役員給与
① 損金の額に算入されない役員給与が別表に反映されているか
② 事前確定届出給与がある場合に、届出額と一致しているか
(6)雑益・雑損
① 還付法人税等について減算処理をしているか、還付事業税について減算処理をしていないか
② 売掛債権の貸し倒れがある場合に、消費税の申告書に記載があるか
③ ゴルフ会員権の売却損益がある場合に、消費税の申告書に記載があるか
実務的に気にすべき点をピックアップしましたが、なるほどと思わせる内容です。
勘定科目内訳書と申告書を比較して疑義が生じれば、税務調査の端緒となる可能性があります。ミスを防ぐうえで、上記の内容などは最低限確認しておくべきポイントと言えるでしょう。
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