税務最新情報

2023年01月04日号 (第455)

令和5年度税制改正大綱の全体像

 新しい年を迎えました。今年もよろしくお願いします。さて、令和5年最初にご紹介するのは、令和5年度税制改正大綱に関する全体像の話題です。ここ2年ほど地味な改正でしたが、今年は盛りだくさんの改正内容でした。

 詳細については後日説明をしていきますが、今回はダイジェストとしてトピックだけご紹介していきます。

消費税、インボイスに関しては手のひら返しの改正あり

 今年の10月から適用されるインボイス制度については、予想されていた通りですが、かなり大きな改正が盛り込まれました。具体的には、下記の通りです。

① 免税事業者が登録申請した場合、インボイス制度導入後3年間は、8割の仕入税額控除で計算できます。

② 基準期間の課税売上高1億円以下又は特定期間の課税売上高5千万円以下である事業者が、インボイス制度導入後6年間の課税仕入について、支払い対価が1万円未満である場合には、帳簿のみの保存で税額控除を認めます。

③ 売上に係る対価の返還が税込み1万円未満の場合は、適格返還請求書の交付義務が免除されます。別の言い方をすれば、振込手数料分の値引きに対する対応です。

④ 令和5年10月1日から登録したい場合、令和5年3月末までに申請が必要という取り扱いは事実上なくなります。

法人税は見直しと延長がメイン

① オープンイノベーション促進税制の見直し

② 研究開発税制についての見直し

③ 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例を2年間延長

④ 中小企業投資促進税制について、コインランドリー等を利用した節税を除外して2年間延長

⑤ 中小企業経営強化税制について、コインランドリー業又は暗号資産マイニングを委託している場合などを除外して2年間延長

資産税関係は相続時精算課税について大きな変更

① 相続時精算課税制度における年間110万円の基礎控除を創設します。非常に相続時精算課税が利用しやすくなります。

② 生前贈与加算の期間を3年から7年に延長します。

③ 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与について、見直しをした上で延長します。

所得税関係はNISAの改正に注目

① NISA制度を恒久化し、一般NISAとつみたてNISAを統合する形で、つみたて投資枠を年間120万円、成長投資枠240万円として、合計で年間360万円と投資枠を大きく拡大します。また生涯非課税限度枠について、1,800万円までと従来の倍以上のボリュームとなります。

② 特定中小会社が設立の際に発行した株式を取得した場合、株式の譲渡所得(一般上場を問わず)の金額から控除できる制度が創設されます。エンジェル税制と同様の仕組みです。

③ 極めて高い水準の所得に対する負担の適正化として、確定申告を要しない配当所得と上場株式等の譲渡所得がある場合に、上乗せの所得税が課される制度です。確定申告を要しない配当所得及び譲渡所得については、税率が15%と低い税率となっていることへの対応です。

電子帳簿保存法については、検索要件が事実上廃止

 電子帳簿保存法の検索要件について、出力書面にしておくことで、電磁的記録が保存してあれば検索要件は不要となります。また、売上高5,000万円以下の保存義務者も検索要件は無条件で不要となります。

 

 消費税の適格返還請求書や電子帳簿保存法の改正については、システム開発業者が必死に準備をしていたところ、手のひらを反すような改正になってしまいました。また1万円未満の場合にインボイスなしで税額控除できる改正は、すでに登録をしてしまった事業者が、登録を取り消すことを検討しなければならないような改正です。準備を周到にしていた実務家泣かせの改正となりました。

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